「メルカリとヤフオク」利用目的の決定的な違い 不用品を売るのは同じでも似て非なるもの

東洋経済オンライン / 2019年8月20日 7時0分

⑥ ファッションにおける「イノベーションのジレンマ」を解決する

「イノベーションのジレンマ」とは、ハーバード・ビジネススクールのクレイトン・クリステンセン教授が提唱した概念です。よかれと思ったイノベーションが、一般的な需要から乖離してしまう現象を意味します。

ファッション業界に当てはめてみましょう。シーズンが変わるたびに新しい服を発表し、トレンドを作り出そうとするものの、毎回のトレンドをキャッチアップしようとする感度の高い消費者は数として限られています。マジョリティは新しい服よりも、自分の価値観やライフスタイルに合った服を買いたい、という人たちでしょう。

そこでメルカリです。メルカリの小泉社長が「最初は売れると思わなかった」と語っているものに、ファストファッションがあります。ファストファッションは値段が安く、定番アイテムがそろっていることが特徴。シーズンが変わると店頭から消えてしまうアイテムも多いのですが、メルカリならば手に入ります。新しい服はいらない、むしろ自分のライフスタイルや価値観に合った服が欲しい。メルカリは、そんな消費者に応えるプラットフォームを提供しているのです。

⑦ 「ファッションは出会い」を再現する

メルカリのトップ画面には、出品アイテムが新着順に表示されています。もちろんジャンルを絞ることはできますし、目的のアイテムがあるなら直接検索することも可能です。しかし「グチャグチャに並んでいる」というところが、1つの演出になっています。買い物には、目的の品が決まっているときもあれば、目的なしにブラブラとウインドウショッピングを楽しみたいときもあります。メルカリが担うのは後者。意外なアイテムに心惹かれ、衝動買いしてしまうといった買い物の楽しさを、小さなスマホ画面上に再現しています。

結びとして、日本からアマゾンを超えるようなプラットフォームやそれを運営する企業が誕生することを期待して、『WIRED』創刊編集長でアメリカのテクノロジー業界に大きな影響力を持つケヴィン・ケリーによる以下の文章を引用します。

<これからの30年を考えると、最大の富の源泉──そして最も面白い文化的イノベーション──はこの方向の延長線上にある。

2050年に最も大きく、最速で成長し、いちばん稼いでいる会社は、いまはまだ目に見えず評価もされていない新しいシェアの形を見つけた会社だろう。シェア可能なもの──思想や感情、金銭、健康、時間──は何でも、正しい条件が揃い、ちゃんとした恩恵があればシェアされる。>(『〈インターネット〉の次に来るもの:未来を決める12の法則』NHK出版)

田中 道昭:立教大学ビジネススクール教授

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