「Appleカード」はなぜそこまで注目されるのか iPhoneユーザーの斬新なクレジットカード

東洋経済オンライン / 2019年8月21日 18時0分

Apple CardはiPhoneやApple Watchから利用するApple Payと、カード番号などの情報を一切記載しないセキュリティを高めたチタン製のカードによる利用ができる。3月25日のイベントで「夏サービス開始」とアナウンスされたが、8月第1週から招待制で順次サービスを開始した(筆者撮影)

アップルは世界に先駆けて、アメリカで独自のクレジットカード「Apple Card」の発行を8月から順次開始した。今年3月に発表されて以来、ゴールドマン・サックスと組んでアップルが金融分野に乗り出す新サービスとして注目を集めてきたが、その理由について、アップルがこれまでと現在から読み解いていこう。

■誰でも持てるが、所有欲をそそられるカード

Apple Cardの本質は、iPhoneだけで手続きができ、すぐに利用可能になり、あらゆる情報がWalletアプリに集約される「iPhoneユーザーのために再設計されたクレジットカード」であることだ。

しかし「Apple Cardが欲しい!」という人のほとんどは、チタンを用いたカードを手に入れたい、という所有欲をあらわにする。この2面性は、Apple Cardが発行される前から注目される理由と言える。

多くのクレジットカードは顧客獲得に膨大なコストをかける。提携企業とカードを発行するなどして、さまざまなターゲットの会員にリーチしたり、入会時のボーナスを積み増すことも多い。一度入った顧客から、じっくりとそのコストを回収し、それ以上の収益を上げようという戦略だ。

Apple Cardは、最初はアメリカのユーザーのみだったが、それでも対象ユーザーは1億人を超える。さらに近い将来10億人とも言われる世界のiPhoneユーザーがターゲットになる。ほかのクレジットカードに比べて、長期的な顧客獲得コストは極めて低くなる可能性が高い。何しろ、iPhoneの画面から入会手続きが済むからだ。

それならば、一般的には年会費10万円以上支払うステイタスカードにしか設定されない金属製のカードを無料で支給しても余りあるということだ。

金融サービスの面から見ると、非常に恐ろしいチャレンジにも映る。アップルのブランドと、ハードウェア(モノ)の所有欲からユーザーを呼び寄せてしっかりとロイヤリティを築き上げ、サービスで収益を上げていくという、アップルの現在のビジネスモデルをクレジットカードに適用するわけだ。

アメリカで生活していると、現金をほとんど手にしないキャッシュレス社会を、クレジットカードやデビットカードで実現してきた。しかし実際に経験してみると、極めて問題が多い。

その大きな理由はセキュリティーだ。2010年代前半、カリフォルニアで暮らしていても、6カ月に1度のスキミング被害は「仕方がない」「まあ、その頻度で起きるよね」という会話が成立するほどだった。

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