パスワードに阻まれて途方に暮れる遺族の現実 亡くなった家族のスマホの中身は見られる?

東洋経済オンライン / 2019年8月31日 8時10分

ハードディスクをクリーンルームにて開封する作業の様子(写真:デジタルデータソリューション)

今や、ほぼ1人1台スマホやパソコンを所有している時代だが、そのパスワードについては、いくら親しい間柄とはいえ、知らされていないことが多い。

家族の誰かが亡くなったとき、その家族のスマホやパソコンを開かなくてはならない事態に陥っても、パスワードという壁に阻まれて、途方に暮れる遺族が増えている。一方で、スマホ・パソコンのデータ復旧やフォレンジックサービス(デジタル鑑識)に対応している企業は少なく、そうした企業の1つである「デジタルデータソリューション」には、家族が遺したデジタル資産に関するさまざまな相談が後を絶たない。

同社に相談した場合、相談料は無料だが、実際に作業を依頼すれば、20~30万円の費用がかかる。ただし、スマホやパソコンのロック解除の成功率は、100%ではない。

そこでデジタルデータソリューションに寄せられた相談から、「デジタル遺品」を取り巻く現在の人間模様を紹介し、万が一のときの対策を考えたい。

遺された家族が、亡くなった家族のスマホやパソコンを開きたいと思う事由には大きく分けて、金銭関係、色恋関係、思い出関係に分けられる。中でも金銭関係は、相続の問題なども絡んでくるため、遺族としてはどうしてもスマホやパソコンを開きたいと考える事由となる。まずは金銭関係の事例を見てみよう。

■【事例1】弟の株取引先・ネットバンク口座がわからない

大阪府の女性Aさん(60代)は、亡くなった弟がネットバンクの口座を持ち、株の取引をしていたことは把握していたが、ネットバンクも株の取引先も、具体的な銀行名・会社名ばかりか、口座番号など一切の情報が不明。おそらく弟は、自分のノートパソコンを使って取引していたと思われるが、パソコンにはロックがかかっていて、パスワードもわからなかった。

Aさんは、相続手続きのために、弟の金融資産を把握したかった。そのため、弟のノートパソコンのパスワード解析と、利用していたネットバンクや株取引先に関するデータの抽出を同社に依頼。

エンジニアが調べたところ、ノートパソコンはMac製だが筐体がかなり古く、OSが正常に起動しない状態。ログインパスワードも不明だった。

そこで筐体を分解し、ハードディスクを取り出して、同社特殊ツールにてパスワードの解析に成功。ショートメッセージやLINEのやりとり、ウェブの閲覧・検索履歴などを抽出したところ、ネットバンクと株を運用していた形跡が確認できた。

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