名物アニメキャラ「声優交代」の知られざる苦悩 栗田貫一、山寺宏一、冨永みーなの心境

東洋経済オンライン / 2019年9月1日 18時0分

“おなじみのキャラクター”のキャスト交代に当たり、受け継ぐ声優はどのような覚悟で臨むのだろうか。山寺宏一や栗田貫一などが語る苦労とは。写真は声優の山寺宏一さん(写真:ZUMA Press/アフロ)

8月、声優の増岡弘が長らく演じてきた2つの役から“卒業”した。2つの役とは、『サザエさん』のマスオ役、『それいけ!アンパンマン』のジャムおじさん。

増岡は、マスオをおよそ40年、ジャムおじさんをおよそ30年にわたって演じ続けてきた。ジャムおじさんは、『アンパンマン』でめいけんチーズなどを演じていた山寺宏一が8月16日から、マスオは、『キン肉マン』のテリーマンなどで知られる田中秀幸が25日から後任を務めている。

長期にわたってある役を演じてきた声優が交代するというのは、作品にとっても、作品のファンにとっても大きな出来事だ。“おなじみのキャラクター”のキャスト交代にあたり、受け継ぐ声優はどのような覚悟で臨むのだろうか。

■「ルパン三世」受け継いだ栗田貫一

“おなじみのキャラクター”のキャスト交代は、『ドラえもん』をはじめ、いくつかの作品で起きている出来事ではある。ここではまず、代表的なサンプルとして、『ルパン三世』の山田康雄から栗田貫一への交代を取り上げたい。

栗田貫一は「ものまね四天王」の一人としてTVを賑わせていた人気者で、ルパン三世の物まねもレパートリーの一つとして持っていた。

その栗田がルパンを最初に演じたのは、山田康雄の急逝を受けて“代役”として立った映画『ルパン三世 くたばれ!ノストラダムス』(1995)。その後、同年放送されたTVスペシャル『ルパン三世 ハリマオの財宝を追え!!』で正式に、ルパン三世の後任となった。そこからおよそ四半世紀にわたって、栗田はルパン三世を演じ続けている。

栗田は、さまざまなインタビューで繰り返し、『くたばれ!ノストラダムス』のときはあくまでも代役のつもりで演じており、その後、正式にルパン三世役となってからも「山田の演技を前提にしてルパンを演じている」ということを強調している。

栗田は今もアフレコ前は、山田の演じるルパン三世の演技を聞き直して収録に臨んでいるそうで、昨年のTVスペシャル『ルパン三世 グッバイ・パートナー』で川越淳監督に取材したときも、栗田が『ルパン三世 カリオストロの城』を見直してアフレコに臨んだ、というエピソードが出てきた。

この流れを単に「物まね」があったからルパン三世を継承できた、というふうに捉えると間違ってしまう(しかし、そういう人も案外多いかもしれない)。

例えば栗田は、物まねは物まねであって、声優の仕事とは違うもの、と語っている。また、栗田自身も、石川五エ門、峰不二子、銭形警部のキャストが一新された『ルパン三世 血の刻印 〜永遠のMermaid〜』(2011)を経て、次第に「ルパンを“ルパン”として演じることがわかってきた」(前出インタビュー)と語っている。つまり栗田の場合、受け継ぐきっかけとなった物まねはあくまで入り口であり、それが「ルパンを演じること」のゴールではなかったのである。

■「銭形警部」「古代進」継承した山寺宏一

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