日韓不和など「どうでもいい」トランプの関心 アメリカ政府高官とトランプの考えは違う

東洋経済オンライン / 2019年9月3日 7時40分

トランプ大統領は日韓不和にそこまで興味がないようだ(写真:Leah Mills/ロイター)

最近、複数のアメリカ政府高官が、異例とも言える一連の直接的な非難を日本と韓国双方の政府に対して表明した。アメリカの東アジアでの安全保障上最重要の同盟国である2国間の関係の悪化に危機感を募らせたためである。

アメリカ側は以前から日韓関係に懸念を抱いていたが、文在寅政権がGSOMIA(軍事情報包括保護協定)を破棄するとの決定はアメリカ側の利益に影響すると考えたのだ。韓国によるGSOMIA破棄は、アメリカ政府がここ数年細心の注意を払って育んできた3国間の安全保障協力を弱体化するものにほかならない。

■日本と韓国が耳を傾けているのは

「両国がこうした状況にあることに、このところとても失望している」と、アメリカのマーク・エスパー国防長官は8月28日に記者たちに述べた。

同日、ランドール・シュライバー国防次官補もこの件について詳しく語り、「北東アジアにおいて顕在化する安全保障上の深刻な問題」を度外視する文政権をやや強く非難しつつ、韓国に対しての輸出管理を導入する日本の決定についても「緊張関係に悪影響を与えている」と指摘した。シュライバー氏は、「苦境にはまり込んでしまったら、その苦境を悪化させるべきではない」と述べ、両国に対して慎重に事態を検討することを呼びかけた。

だが、アメリカ政府高官によるこうした率直な発言にいまのところ、文大統領、安倍晋三首相のいずれかが耳を傾けている兆候は見られない。なぜだろうか? 理由は簡単である。両国首脳ともアメリカ政府高官ではなくドナルド・トランプ大統領の発言に注意を向けているからであり、そして、トランプ大統領の発言は高官たちの発言とはかなり違うからである。

今回の騒動の最中フランスで行われたG7首脳会議の際に安倍首相とトランプ大統領は会談したが、トランプ大統領は日韓関係の緊張に関して一切発言しなかった。むしろ、会談内容はおおむね貿易問題についてであり、それ以外は北朝鮮問題に多少言及された程度であったと、安倍政権の国家安全保障局の関係者は明かす。

ブッシュ政権時の国家安全保障会議(NSC)でアジア上級部長を務めたマイケル・グリーン氏は、日韓の不和について「トランプ大統領にとってはどうでもいいことだ」と言う。「現政権はリーダーシップを完全に放棄している」。

いくつかの事案に関しては日本政府もトランプ政権内部の専門家をしっかりと注視している。例えば、貿易問題では、日本政府はロバート・ライトハイザー・アメリカ通商代表の発言に細心の注意を払っている。そして北朝鮮のミサイルといった、アメリカ政権内の一部と利害が一致する問題については、日本側は自らに有利な見解を広めようとする。だが、「対韓関係といった面倒な事案については、日本側は無視している」とグリーン氏は言う。「気付かないふりで済ませるというわけだ」。

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