高齢ドライバー「認知機能検査」知られざる中身 世界でもめずらしい検査の仕組みとは?

東洋経済オンライン / 2019年9月9日 7時50分

75歳以上の高齢ドライバーは、自身の身体や認知の機能がどのような状態にあるかを知っておくべきです(写真:ありがとう!/PIXTA)

近年、高齢ドライバーの自動車事故が相次いでいます。4月に起きた池袋の暴走事故は記憶に新しく、ご両親が運転されることに不安を抱いている方もいらっしゃると思います。

実は、75歳以上の免許保有者が必ず受けている「運転免許認知機能検査」というものがあります。これは、3年に1度の免許更新時に義務化されているもので、得点が49点未満であれば医師の診断が必要となり、認知症と診断されると免許の取り消し・停止処分となります。

いったいどのような検査なのか。『これで安心! 75歳からの運転免許認知機能検査 テキスト&問題集』を執筆した株式会社ベスプラの遠山陽介代表が解説します。

■高齢ドライバーの死亡事故率は2倍以上

75歳以上の高齢ドライバーの数は2020年には600万人に達する見込みで、超高齢化社会の進展に伴い、今後も少しずつ増加すると予想されています。

誰もが避けられないことですが、高齢になると、生理学上どうしても認知機能が衰えてしまいます。知能検査として広く使われている「ウェクスラー知能検査」の加齢変化に関する実験結果によると、70代になると30代に比べて、処理速度や判断力は40%にまで低下することが判明しています。

また、警視庁が発表したデータでは、75歳以上の運転者は75歳未満の運転者と比較して、約8倍もアクセルとブレーキの踏み間違いがあります。実際の事故率でも75歳以上の運転者の死亡事故は、2倍以上も多く発生しています。運転は高度な認知的判断が必要となり、一瞬の判断ミスが大事故につながると考えられます。

そこで日本では、75歳以上の運転者に対し「認知機能検査」を始めています。

これは2009年以降、3年に1度の免許更新時や特定の違反行為に該当した場合に義務付けられているもので、2017年の改正道路交通法以降は、高齢者の運転事故対策等を目的に、検査の仕組みが強化されています。

具体的には、「認知症のおそれがある(第1分類)」と判定されたドライバーは、医師の診断が必要となりました。現在、認知機能検査は年間200万人以上が受検しています。

検査内容は、①時間の見当識、②手がかり再生、③時計描画の3つに分けられます(下のイラスト参照)。

1つ目の「時間の見当識」は、現在の年・月・日・曜日・時分を認識して書く問題です。自分が置かれている状況(日や時間、場所など)が正しく認識できるかを検査します。時間がきちんとわかるかは、認知機能にとってとくに重要な指標であり、見当識の障害は、認知症を代表する症状の1つといえます。

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