ゾゾ前澤氏「電撃退任」を決めた3つのつまずき 「カリスマ」なき後のゾゾはどこへ向かうのか

東洋経済オンライン / 2019年9月14日 7時30分

前澤氏の姿勢変化の裏には、やはり経営面での蹉跌があることは否定できない。つまずきのひとつは、第2の収益柱を目指して昨年始動したPB(プライベートブランド)事業の大失敗である。

「『服がもしかしたらネットで売れる』と思ったのが20年近く前で、ちょっとやってみたら反応がとても良くて今に至る。そのときと似た感覚が今はあり、『これ(PB)はいける』という感触があるからアクセルを踏んでいる」

2018年1月の東洋経済のインタビューにおいて、前澤氏はPB事業への思い入れをにじませていた。

このPB事業では、採寸用ボディスーツ「ゾゾスーツ」での計測データを基に、顧客にジャストサイズの商品を届ける近未来的な手法で拡販をもくろんだ。しかし、生産トラブルに伴う配送遅延などが頻発。大赤字を出し、現在はサービス展開を大幅に縮小している。それまで「直感」で事業の拡大に成功してきたが、自分の感覚と消費者の反応が大きくズレた初めてのケースだったと言える。

■有料会員向け割引サービスで「ZOZO離れ」

つまずきの2つめは、有料会員向け割引サービス「ZOZOARIGATOメンバーシップ」の不発だ。ゾゾタウンの取扱高拡大につなげようと、昨年末にこのサービスを導入した。しかし、あからさまな割引価格の表示や事前の説明不足に、出店ブランドが猛反発。「ZOZO離れ」と揶揄されるほどに、次々に撤退を表明するブランドが現われた。結果、取扱高も想定していたほど伸びず、半年足らずでサービスを終了せざるを得なくなった。

そしてもう1つ、前澤氏の心変わりの背景に、個人の資金繰り問題があることを指摘する業界関係者は少なくない。

PBの失敗などを受けて、ZOZOの株価は昨年7月の4875円をピークに大幅に下落。今年に入ってからは、およそ半値の2000円前後で推移している。

一方、前澤氏は月旅行や現代絵画の購入などに大金を使うことを公言してはばからない。8月下旬に提出された大量保有報告書によると、前澤氏は自身が保有するZOZO株の約6割に当たる、6500万株を銀行に担保として差し出している。具体的な借り入れ金額は定かではないが、この1年で株価が急落する中、銀行側から早期の返済や保有株の売却を求められていた可能性は否定できない。

12日の会見で借り入れの問題に質問が及ぶと、「『借金で首が回らなくなり、急いで提携を結んだのでは』というのは臆測に過ぎない。それはまったくない」と、前澤氏は強く否定した。なお、前澤氏が銀行に返済を求められていたか否かについてZOZO側は、「個人に関する話のため、会社としてのコメントはない」(IR担当者)としている。

「直感的かつ野性的」(前澤氏)な経営手法の行き詰まりを感じたのか、12日の会見では「(トップダウン型の経営スタイルでは)チーム力を生かし切れていなかった」と反省の弁も述べた。

支払いを最大2カ月延長できる「ツケ払い」など話題性のあるサービスを打ち出し、新たな顧客をつかむのがZOZOの得意技だった。そして、それは前澤氏の先見性や発信力を支えにしていたことは間違いない。カリスマなき後も、エッジの立った独自のサービスを展開できるのか。ヤフー傘下で新社長が牽引するZOZOは、まさに真価を問われることになる。

真城 愛弓:東洋経済 記者

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