セブン銀「オワコンではない」新型ATMの勝算 地銀不振やキャッシュレスをどう乗り切るか

東洋経済オンライン / 2019年9月15日 7時20分

セブン銀行が9月12日に発表した新型ATM「ATM+」。顔認証技術やスキャナーなど、さまざまな新機能を盛り込んだ(撮影:大澤誠)

厳しい収益環境のもと、店舗や人員と並んで銀行の悩みの種となっているのがATM(現金自動出入機)だ。

クレジットカードやネットバンキングが普及し、顧客の利用頻度は減少。給料日にサラリーマンがATMに並ぶ姿を見ることもなくなりつつある。

それなのに、ATMにかかる年間の維持費は1台数百万円かかると言われている。9月には三菱UFJ銀行と三井住友銀行が店舗外ATMの共同利用を開始するなど、銀行界でATMは削減の方向に向かっている。

そんな中、ATMの新しい形を模索すべく、9月12日に新型ATM「ATM +」を発表したのがセブン銀行だ。

■顔認証技術やスキャナーなど新機能を詰め込む

今回のATM開発でセブン銀行が手を組んだのが、これまでのATMも共同開発してきたNEC。その目玉が世界トップレベルの顔認証技術だ。来春から成田空港での搭乗手続きに採用されるほか、東京五輪の全会場で関係者の認証にも使われる。

このほか、本人確認書類をスキャンするスキャナーや2画面一体型のディスプレイなど、現金入出金以外のサービスにも対応できる機能を詰め込んだ。

セブン銀行の舟竹泰昭社長は「デジタル化やキャッシュレス化が進み、『ATMはオワコン』という声も聞こえてくる。しかし、ATMも進化する」と力強く語る。新型ATMは9月末から投入し、2024年までには全国のATMを置き換える予定だ。

預金を集めて貸し出しをする一般的な銀行とは異なり、提携金融機関から受け取るATM利用手数料を収益柱としている。A銀行の口座を持つ顧客がセブン銀行のATMからお金を引き出すと、A銀行からセブン銀行へ平均120円程度の手数料が支払われる。ノンバンクなども含めると、130~135円が手数料の単価だ。

コンビニという立地を生かし、企業が24時間売上金を入金できる「売上金入金サービス」も展開。セブン‐イレブン自体も、コンビニの売上の入金にこのサービスを活用している。銀行のATMは一般的に現金引き出しの割合が高く、頻繁な現金補充が欠かせないが、セブン銀行は現金補充の頻度を大きく下げ、運営コストを低く抑えている。

■国内2位のATMネットワークを誇る

これまでのセブン銀行の成長は順調だった。提携先金融機関は615社に拡大。ATM設置台数は2万5319台(2019年9月13日時点)と、ゆうちょ銀行に次ぐ国内2位のATMネットワークとなった。

しかし、このATM利用手数料を柱とするビジネスモデルの見通しは厳しい。2019年度の業績は、経常利益397億円(前年比2.5%減)と減益が予想されている。最も大きな逆風はATM1台当たりの利用件数が減っていることだ。2014年時点では1台あたり1日100.9件あった利用件数が、2019年度は同89.2件まで縮小するとみられる。

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