フレームワークに頼りすぎる人が見落とす視点 マーケティング戦略を考える上で重要なこと

東洋経済オンライン / 2019年9月18日 8時30分

製品にも生まれてから撤退するまでの一生があります。これを製品ライフサイクル(Product Life Cycle)といいます(写真:Dragon Images/PIXTA)

経営手法・フレームワークを丸暗記する必要はないが、「そういったものがある」ことは知っているほうが効率的である。経営戦略、マーケティング、組織・人事、財務・M&Aといった観点で早稲田大学大学院ビジネススクール教授の山田英夫氏がまとめた著書『ビジネス・フレームワークの落とし穴』から製品ライフサイクルについて一部抜粋のうえ、紹介する。

■突然若返った”初恋の味”

人間に、生まれてから死ぬまでの一生があるように、製品にも市場に初めて出されてから陳腐化し、市場から撤退するまでの一生がある。これを製品ライフサイクル(Product Life Cycle)と呼んでいる。

よく使われるモデルに、図表のようなものがあり、ステージの早い順に、導入期、成長期、成熟期、衰退期と呼ばれている。ここで導入期とは、製品が市場に導入されたばかりの時期であり、売り上げの伸びも緩慢である。また、製品導入にかかわるマーケティング支出が大きいため、利益はマイナスとなる。マーケティングの中心は、顧客の製品認知にある。

次の成長期は、製品が急速に市場に受け入れられていき、売り上げも順調に増加する時期である。参入企業数も増え、利益も出てくる。

マーケティングの中心は、市場浸透とブランド選好を高めることにある。 成熟期は、売り上げの伸びが止まり、限られたパイの奪い合いとなる。マーケティングの中心は、差別化によるシェアの防衛にある。

最後の衰退期は、需要が減退し、売り上げも下がり、利益も減退していく。マーケティングの中心は、生産性の向上にある。 こうした製品ライフサイクルの違いによって、企業のとるべきマーケティング戦略の定石も、図表のように異なっている。

「今、この商品はライフサイクルの上でどの段階にいるのか」という問いは、マーケティング戦略を考えるうえで、とても知りたいことである。しかし残念なことに、この問いに対する正解はない。

例えば、1919年に発売されたカルピスは、かつては「初恋の味」と言われ、人気を誇ったが、1980年頃には売り上げの伸びもなく、誰もが”成熟期の商品”であると思っていた。

当時は濃縮されたカルピスを自分で水で薄めて飲むタイプ(コンク式)しかなかった。

しかし1991年に缶入りの「カルピスウォーター」が発売され、カルピスの理想的な濃さがわかると同時に、缶入りのため、屋外でも気軽に飲めるようになり、カルピスは再び成長期を迎えた。はたして1990年の時点で、カルピスは製品ライフサイクルのどの時期にいたと言えるのだろうか?

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