「弱腰アメリカ」笑うサウジ攻撃の本当の黒幕 ドローン10機で19カ所攻撃はほぼ不可能

東洋経済オンライン / 2019年9月18日 16時0分

ドローンによる攻撃を受け、燃え上がるサウジアラビアにある石油処理施設(写真:ロイター)

14日未明に起きたサウジアラビア東部にある石油施設への攻撃では、サウジの日量生産能力の約半分が一時的に失われ、原油相場が高騰して日本の市民生活への影響も予想される事態となった。

隣国イエメンのイスラム教シーア派系フーシ派が、ドローン(無人機)10機による攻撃だと犯行を認めたが、この主張を額面通りに受け取る専門家はほぼ皆無だ。フーシ派を支援するイランが深く関与しているとの見方が強い。

イランは、サウジが介入するイエメン紛争を隠れ蓑に、原油相場を容易に高騰させる能力を誇示。イラン核合意をめぐるアメリカとの駆け引きを有利に進める狙いがありそうだ。

■フーシ派の主張と整合性取れない

アメリカによるイランへの「最大限の圧力」により、イランの7月の原油輸出量は日量約10万バレルと、2018年のピーク時の約20分の1にまで激減。もはや失うものがないところまで経済的に追い詰められたイランは、通常戦力が大幅に異なる主体間の「非対称戦争」に持ち込み、アメリカの圧力緩和を引き出そうとしている。サウジの原油生産の中枢に打撃を加えることで、世界経済も「人質」に取れる攻撃能力を示しており、イラン側もアメリカに非対称戦争で最大限の圧力をかけた格好だ。

アメリカ政府が公開した衛星写真によると、アブカイクで17カ所、クライスで2カ所の計19カ所が攻撃を受けており、フーシ派が主張する10機のドローンによる攻撃という主張とは整合性が取れない。小型の弾頭を搭載した自爆型ドローンとみられているためだ。

また、フーシ派による従来のドローン攻撃と比較して、航続距離や精度が格段に向上しているほか、複数の標的をほぼ同時に狙うという手口は、外部勢力の関与がなければ実行できない複雑な作戦と言える。17日記者会見したサウジのアブドルアジズ・エネルギー相によると、備蓄の放出で全体の供給量は回復したものの、攻撃前の水準まで産油量を回復させるのには9月末までかかるという。

フーシ派はイエメン紛争に介入して空爆を繰り返すサウジに反発し、5月にサウジの首都リヤド西方の石油パイプライン2カ所をドローンで攻撃して操業停止に追い込んだり、弾道ミサイルをリヤドに撃ち込んだりしてきた。さらなる攻撃を予告しており、今回の攻撃も一連の軍事行動に沿ったものとも言える。

7月には、サウジ主導の連合軍の中軸を形成してきたアラブ首長国連邦(UAE)がイエメン駐留部隊の縮小を表明。フーシ派は、サウジへの攻撃を激化させ、軍事介入の停止を誘おうとしている。

■フーシ派を積極的に支援するイラン

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