スパゲッティに「塩」「差し水」は、むしろ余計だ 日本人があまり知らない麺類の事実

東洋経済オンライン / 2019年9月24日 17時0分

パスタをゆでるとき、塩を入れたり、差し水をするのは当たり前だと思っていないか(写真:kazuoka30/PIXTA)

「人類は麺類」とまでいえるかは別として、麺類が嫌いという人はあまりいないだろう。昼は必ず麺類という人もいるはずだ。ただ、材料が同じでも麺によって弾力や香りなどが違うのはなぜか、従来の調理法は合理的なのかといったことを考える人は少ない。いくつになっても自ら実験、分析する工学者が科学的に迫る。『麺の科学 粉が生み出す豊かな食感・香り・うまみ』を書いた工学院大学の山田昌治教授に詳しく聞いた。

■小麦粉を使った2大加工品がパンと麺

──実は専門はパンだとか。

日清製粉の研究所では両方やりましたが、どちらかというとパンで、最も成果が上がったのが生地をこねる研究。こねる工程の研究が少ないので、酵母の表層にオワンクラゲの緑色のタンパク質を移植して目に見えるようにしました。

──ノーベル賞で有名な光るやつ。

可視化できた酵母を入れた生地をこねて凍結、1マイクロメートル単位でスライスし、一枚一枚酵母の分布を調べて3次元化し動径分布関数を求めるという論文を書いたら、日本農芸化学会の論文賞をいただきました。なので、本書の話が来たときも「パンの科学」ならすぐ書けると言ったんです。そうしたら、それはもうあります、って(笑)。著者の吉野精一さんはパンの分野では有名な方で、非常に優秀。彼が書いているなら仕方ないか、と。

──パンであれ麺であれ、小麦は粉にしないと食べられない。

小麦粒は表皮が内部に食い込んでいて、コメのように表面を磨いただけでは表皮をすべて取り去れません。表皮はにおいがきつくて食べられないから牛、馬の餌になる。全粒粉のパンは体にいいとわかっていても、あまり売れないでしょ。表皮を取るため砕いて粉にする。小麦粉を使った2大加工品がパンと麺です。

──麺=でんぷんという印象ですが、タンパク質も重要ですね。

小麦粉の成分としては10%程度しかないのに、麺の食感のほとんどはタンパク質で決まります。

もちろん、でんぷんも食感に関係します。水を加えて熱すると糊化(こか)して、アミロースとアミロペクチンという2つの糖質の構成比によって食感がドロッとしたり、モチモチになったり。例えば、うどんはモチモチ感が必要なので、低アミロース系の小麦が使われます。

一方でタンパク質は、その水和物であるグルテンの量が麺の弾力性を決めます。今研究しているのは、グルテンの量や質をコントロールすることで麺の食感を自由自在に変えるというものです。手延べ麺は機械で作った麺に比べて歯応えがあるのですが、その理由もグルテンの構造を可視化することでわかっています。ポイントはpH(水素イオン濃度)。かん水、重曹などで塩基性にすると弾力が増し、格段に歯応えが増します。

■パンケーキをおいしくする「コツ」

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