日本ではなぜ人口減でも大学が増え続けたのか 平成30年間に生まれた大学・消えた大学

東洋経済オンライン / 2019年9月30日 7時30分

人口減による定員割れが予想できたにもかかわらず、文部科学省がこの30年間、大学の新設を次々と認可してきたのはなぜか? 写真は秋田県の国際教養大学の24時間開館している図書館(写真: Kengo_mi/PIXTA)

2020年の入試改革を目前に控える大学。続く各種改革の根幹には、18歳人口減と、すでに私立大学の4割が入学者数定員割れという悲惨な実態があるとされる。ではなぜこうなることが予想できたのにもかかわらず、平成30年の間、大学は増え続けたのだろうか? 教育ジャーナリストの木村誠さんはそこに「文科省の甘すぎる認識があったのでは」と指摘する。

*本記事は、中公新書ラクレ『「地方国立大学」の時代』より抜粋したものです。

■約4割が「入学定員割れ」という悲惨な現状

私立大学の約4割が入学定員割れになっている、という事実は、日本私学事業団の調査を通じて今や広く知られている。そして定員割れの大学は、淘汰されてもやむをえない、という主張も多く目にするようになった。

ただ、大学設立を認可した文部科学省からすれば、次々に大学が潰れるような事態が続いては困るし、在学生への責任もある。そこで大学が破綻しないよう、さまざまな救済スキームを考えてきた。

例えば最近では、東京都心に多い人気私大の定員の抑制と入学定員の厳格化を進め、地方受験生の流入を抑え、地方の私大にとどめようとしている。

しかしそうした施策でいくらか緩和されたとしても、18歳人口減、大学進学率は横ばい傾向という厳しい状況で、大学にとって冬の時代が続くのは間違いない。

それにもかかわらず、文部科学省はこの30年間、大学の新設を次々と認可してきた。それはなぜか。

「戦後の大学数の推移」を見ると、平成末期になっても、まだ微増傾向が続いていることがわかる。一般企業なら、縮小することが確実なマーケットへ続々と進出することなど、まずありえないことだろう。

18歳人口がまだ増加か横ばいで、大学進学率も伸びていた平成初期なら、大学が増えてもとくにおかしくはなかった。ところが、その急増期を過ぎても認可は続いた。

平成初期ではとくに公立大学の開学が目立つ。国立大学の数が微減傾向なのに対し、その伸びは際立っている。公立大学の場合、地方自治体が設置者で、交付金も総務省の管轄となる。そのため文部科学省での設立認可はかなり甘めで、ある意味でひとごとだったのでは、という見方もある。

■進む公私の合流

長く続いた昭和の後期、地方活性化の担い手として地方の大学への期待が高まっていたことも確かだ。地方自治体が既存の学校法人と協力し、財政支援をする「公私協力方式」が、地方私立大学を中心に続出したのはそのためだ。

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