「博士の卵」半減!科学王国日本の超ヤバい未来 近い将来「ノーベル賞ゼロ時代」が現実となる

東洋経済オンライン / 2019年9月30日 8時20分

博士の卵が激減している大学院。なぜ減少の一途をたどっているのでしょうか(写真:zhudifeng/iStock)

ノーベル賞の発表が目前に迫っているなか、科学立国日本の将来に警鐘を鳴らす書が刊行された。『科学者が消える ノーベル賞が取れなくなる日本』を上梓した岩本宣明氏が、数多くのデータから日本の危機を明らかにする。

■空洞化する大学院博士課程

ノーベル賞シーズンが近づいてきました。近年の日本人受賞ラッシュはご存じのとおりで、今年も、物理学賞に東京大学の十倉好紀教授ら、化学賞に藤田誠教授ら、生理学・医学賞に京都大学の森和俊教授ら、文学賞の作家の村上春樹さんと、日本人有力候補者は目白押しです。

昨年、生理学・医学賞を受賞した本庶佑・京都大学名誉教授に続き、うれしい知らせが舞い込んでくる可能性は高いと言われています。

喜びの授賞シーズンを前に水を差すようで気がひけますが、近年の日本人科学者のノーベル賞受賞ラッシュとは裏腹に、日本の科学界や大学は大変な状況に陥っています。

2016年に生理学・医学賞を受賞した大隅良典・東京工業大学栄誉教授や本庶教授は、受賞後の会見などで、日本の研究現場は危機的状況にあり、このままでは将来日本人がノーベル賞を受賞することはなくなる、という主旨の発言を繰り返し、若手研究者育成のため、ノーベル賞の賞金を基金として、財団や基金を創設されているほどです。

日本の科学技術力の衰えは、数年前からさまざまな人々が指摘していることです。その根拠としているのは、学術論文数の減少です。科学技術先進各国が論文数を増やしているのに対し、日本の論文数は減少しています。

しかし、深刻なのは、論文数が減っていることよりも、そうした事態を招いている研究環境の劣化にあり、さらに、深刻なのは、研究環境の劣化が原因で、科学者を目指す若者が減少していることです。

日本の大学の博士課程の空洞化が進行しています。このままでは、将来、日本人科学者が激減してしまう危険性が非常に高くなっています。

■博士の卵は15年前の半数

このような危機的な状況は、文部科学省が毎年発行している『科学技術白書』に公表されているデータが裏づけています。

まずは、大学院博士課程の進学者の減少です。大学進学率は一貫して上昇を続けています。2018年には57.9%にまで上昇しました。大学進学者の方が多数派です。

一方、大学院修士課程の進学者は2010年以降、減少傾向にあります。博士課程は2003年以降、ほぼ減少を続けています。2003年には1万8000人ほどだった博士課程進学者は、2017年には1万5000人ほどに減りました。

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