株価を予測する上で米中協議よりも重要なこと 中国経済は市場の想定よりも意外に順調?

東洋経済オンライン / 2019年10月3日 8時0分

今後の株価は上昇するのだろうか。実は米中関係よりも重要なポイントがある(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

前回のコラム「原油急騰でもインフレは起きず円高になる懸念」(9月16日配信)では「一時1.9%台まで上昇したアメリカ10年国債金利は低下に転じる」、と述べた。

9月13日前後までの金利上昇はやや行き過ぎで、また一時大幅高となった原油価格がインフレ率に及ぼす影響は軽微なため、さらなる金利上昇が続く可能性は低いと考えたからである。

その後アメリカの金利上昇に歯止めがかかり、9月24日には10年国債金利は1.6%台に低下した。そして前日まで最高値圏で推移していたアメリカ株(S&P500)は、米中貿易紛争への懸念などから、24日には約0.8%下落した。同国株は10月に入ってからも1日にNYダウが343ドル安となるなど、不安定な値動きとなっている。

■各国の政策対応は本当に実現するのか?

8月後半から9月20日前後にかけて、米中貿易協議進展への期待などからアメリカ株市場は上昇していたが、その期待が薄れたことが株価反落の主因だろう。筆者は米中の貿易協議の行方について慎重に見ている。米中協議の進展への期待で市場心理が揺れ動く場面は、10月中旬に予定されている重要会合を控えて続くかもしれないが、米中協議の進展で株高をもたらす可能性は低いだろう。

アメリカ株の趨勢を考える上で重要なのは、米中協議よりもアメリカを含めた世界経済の動向だ。2019年前半までアメリカの国内需要は依然底堅く、この夏場も年率2%前後の経済成長が続いた模様である。ただ、同国でも製造業の停滞が、消費者心理やサービス業の景況感に波及する兆しが見られる。米中貿易戦争の悪影響が、世界経済を支えていたアメリカ経済を揺るがし、2018年から続く世界経済の減速は2020年まで長引くと予想される。

こうした中で、アメリカ企業の業績は2019年に入り緩やかながらも増益基調を保っているが、今後減益に転じるリスクが大きい。このためアメリカ株については、割高感が意識されやすいと引き続き慎重にみている。

この筆者の慎重な見通しが外れるとすれば、各国の経済政策対応によって、世界経済全体が早期に底入れするシナリオが実現する場合である。これは、仮に米中貿易戦争が続いても十分想定できるだろう。問題は、世界経済の減速を反転させる政策対応が、各国で実現するかどうかである。

実際に、経済成長率に配慮する経済政策への転換は、金融政策の現状維持が続き、緊縮財政を強めている日本を除く多くの国で2019年に入り散見されている。まずは、米連邦準備制度理事会(FRB)が2019年早々に利上げ路線を事実上撤回し、その後利下げに転じた。欧州中央銀行(ECB)も6月から緩和姿勢を明確に示し、9月に金融緩和に転じた。筆者は、これらの金融緩和政策の強化を前向きに評価しているが、これらだけでは経済を押し上げるには不十分で、財政政策発動が必要と考えている。

■ドイツの政策転換に期待が持てない

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