自動車暴走で見落とされる「有効視野」の大問題 認知機能だけでなく、視野にも注目すべきだ

東洋経済オンライン / 2019年10月7日 7時30分

自動車事故を少しでもなくすためにも効果的な、有効視野を広げる方法を紹介します(写真:kotoru/PIXTA)

痛ましい自動車事故が相次いで起こっています。個々の事故の原因に対しては詳細な検討が必要です。一方で事故を起こすドライバーには、高齢者が多いことが知られています。また、警察庁が高齢ドライバーによる交通事故対策として、運転技能を調べる実車試験を導入する検討を始めたということもニュースになっています。

75歳未満の交通死亡事故率は10万人当たり3.8人であるのに対して、75歳以上の交通死亡事故率は8.9人と2倍以上です(2016年警察庁資料による)。高齢者から免許を取り上げる議論もありますが、都会はまだしも地方では交通手段がほかにないことから、免許取り上げに踏み切るのは難しい現実もあります。

では、高齢者はもちろんのこと、みんなが安全に運転するにはどうすればよいでしょうか? そのカギの1つは、有効視野を広げることです。『1日3分見るだけでぐんぐん目がよくなる! ガボール・アイ』の著者であり眼科医の平松類氏に、誰でも簡単にできる有効視野を広げるトレーニングについて教えてもらいました。

■認知機能の低下は、交通事故と関係しない要素も大きい

現在、とくに高齢者による自動車事故を減らすために、アクセルとブレーキの踏み間違いを抑制する自動車の義務化が検討されています。

統計やニュースを見ると、高齢者は若い人に比べて踏み間違いが8倍あると言われています。また、死亡事故の要因分析(内閣府「高齢者に係る交通事故防止」)を見ると、若年者に比べて高齢者が8倍以上にのぼっています。ではどの程度かというと、若年者では死亡事故原因の0.7%なのが、高齢者では5.9%となっているのです。

また、踏み間違い防止機能の義務化は、全台設置ではなく、運転技能をチェックして問題のある人だけにすることも検討されています。とはいっても、私は自動車運転のシミュレーター研究などにも携わったことがありますが、運転者の技能を判断することは、短時間では非常に困難です。

では、認知機能の低い人が運転しないようにすればいいのではないか?と思われがちですが、実はこれは間違っています。

高齢者の事故原因は「認知症」などの「認知機能低下」や「反応低下」によるものと思われがちですが、死傷事故のうち人的な要因、判断の遅れは18.0%、操作上の誤りは8.0%です。一方で、発見の遅れが73.8%と最も多くなっています。つまり、状況の変化や歩行者を発見できないことが、最も大きな問題となっているのです。

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