「ええ声」の持ち主、二代目桂南天が拓く新境地 ポジティブ思考で明朗快活な上方落語

東洋経済オンライン / 2019年10月10日 17時0分

この春から弟子がきた。「桂米朝五代の孫」、鎌倉時代の武士みたいなことになる。

「これまでも何人か来てたんですけどね、うちの師匠じゃないですけど、僕は弟子をとるつもりはなかったんです。これまで来た子の中には落語会とかそんな見たことなくて、ぱっと思い付きで来てるやろ、という子もいて。

ある程度のシンパシーを感じないと。よっぽど僕の弟子になりたいていう空気感じないとね。僕かて南光の落語がめちゃめちゃ好きやったし。

今来てる子は太融寺(大阪、梅田)で隔月でやってる勉強会でちょいちょい見かけて、“なんか来てるな”と思てたら、ある日突然“弟子にしてください”って言うてきた。“ああ、来たか”と。そういう意味では今までの子とちょっと違ったんで話を聞きました。こないだ初高座で“子ほめ”を演じて、今は2本目の“兵庫船”を教えています。一門の系図に入れていただいて、ありがたいことです」

■何でも前向きに受け止める桂南天のよさ

師匠と同様、弟子の教育は厳しいのか?と聞くと「僕は全然厳しくないと思うんですよ。声を荒らげることもありませんし、言葉数も少ないです。でも教えるのは面白いですね。彼も落研で少しは落語をやってはいたんですが、それは一度ちゃらにして、まっさらなうえに、僕がこうこうこう言うわけで、と教えていく。面白いですね。弟子を持つのは確かに大変ですが、そういう苦労も楽しもうかな、と思っています」

何事につけ前向きに受け止める。難儀なこと、苦労することも正面から受け止めて、そのことを楽しもうとする。そのポジティブさが南天の魅力なのだろう。だから南天落語は、陰気な噺、込み入った噺でも、明るく、屈託のないものになる。

あの威勢のよい声は、腹に一物を持たない南天の明朗快活さから出るのだ、と改めて確認した次第である。

(文中敬称略)

■二代目桂南天 プロフィール

1967年12月27日、大阪府枚方市出身。大阪芸術大学映像学科卒業。1991年、三代目桂南光(当時桂べかこ)に入門。桂こごろうを名乗る。2012年4月 二代目桂南天を襲名。
○レギュラー
ABCラジオ 「ドッキリ!ハッキリ!三代澤康司です」 木曜日 9:00~12:00
MBSテレビ 「ちちんぷいぷい」内「昔の人は偉かった」ナレーション 木曜日 13:55〜15:49

〇出囃子「復興節」「正月娘」
たまたまNHKの大河ドラマ「いだてん」で「復興節」が流れたが関係はない。「正月娘」は、「南天を襲名したときに枝雀師匠の奥さんが、“南天はよく正月飾りに使われるから、正月娘はどうや”て言うていただいて」(本人談)
〇持ちネタ 
「代脈」「動物園」「へっつい盗人」「青菜」「いらち俥」「たいこ医者」「つぼ算」「たちぎれ線香」「代書」「皿屋敷」「鷺とり」「算段の平兵衛」「茶の湯」「崇徳院」「替り目」「牛ほめ」「つる」「子ほめ」など。「持ちネタは100とちょいくらい。稽古せんでもかけられるのは30から40くらいです」

〇公演予定 

ホール落語 

2019.12.1(日)桂南天独演会

京都府立文化芸術会館(京都)開演:14:00~(開場:13:30~)

2019.12.14(土)桂南天落語の入り口

西淀川区民会館(大阪)開演:14:00~(開場:13:30~)

※その他、公演情報は米朝事務所のホームページをご確認ください。
※公演情報に関するお問い合せは米朝事務所(TEL:06-6365-8281)へご連絡ください。

広尾 晃:ライター

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