鉄道運賃、値上げで黒字化できない法律のワナ 「料金」を稼げるよう付加価値を高めるべきだ

東洋経済オンライン / 2019年10月10日 7時0分

千葉県のいすみ鉄道は運賃のほかに料金が必要な「急行」を走らせている(写真:tarousite/PIXTA)

10月1日からの消費税率変更により全国各地の鉄道の運賃が値上げされた。

鉄道の運賃を設定・変更するには、鉄道事業法(以下「法」)第16条により運賃額上限の認可を受けることが必要である(上限の範囲内での変更は届け出)。国交省のホームページによれば、今回の消費税率変更による運賃の上限変更も法第16条に基づく認可がなされたものであり、事業全体として108分の110以内の増収であることを前提としたとのことである。

■鉄道の運賃はどう決まる?

鉄道運賃の上限の基準については以前に書いているのでご参照いただきたいが(2015年11月20日付記事「北海道新幹線が東海道新幹線より高額なワケ」)、運賃上限額の認可は「能率的な経営の下における適正な原価」に「適正な利潤を加えたもの」を超えないものであるかを審査したうえでなされる(法第16条第2項)。

「適正な利潤」が加算されるものの、実際のところ、大手民鉄はともかく全国の地域鉄道の経営は厳しく利益が出ていないところが多い。国交省のHPでは、2017(平成29)年度において、全国の地域鉄道(「新幹線、在来幹線、都市鉄道に該当する路線以外の鉄道路線」と定義)96社中73社が鉄軌道業の経常収支ベースで赤字とされている。

いずれも運賃上限額認可の際には運行経費に「適正利潤」が加算されて一応の利潤が確保されているはずなのに、地域鉄道の約4分の3が赤字となっているという現状では何が適正なのか、という疑問も生じる。

「適正利潤」に関して、中小民鉄に適用される「収入原価算定要領」には「配当所要額」(適正利潤)という項目があり、「払込資本金に対し10%配当に必要な額の鉄軌道事業分担額」とされている。

民間事業者という立場からすれば、運賃額を決定する際に利益をどの程度見込むかは本来自由に決められるはずである。

その自由な決定を規制するということからすると、鉄道事業法がいう「適正な利潤」とは、「鉄道事業者が自身で適正と考える利潤」や「目標とする利潤」ではなく、「利用者のために必要以上に儲けさせない」という目的からはじき出される「適正利潤」であり、公共的側面から見た「適正な利潤」の確保にとどめるということである。

■運賃変更求める行政訴訟も

しかも、上限運賃の認可やその範囲での運賃届け出をしたときには、運輸審議会への諮問や、重大な利害関係を有する利用者の意見が聴取されることもありうる(法第64条の2、第65条、鉄道事業法施行規則(以下「規則」)第73条第3号)。

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