消費増税された庶民が知らない法人税の不合理 大企業ほど税金を払わなくてすむカラクリ

東洋経済オンライン / 2019年10月17日 7時40分

日本の法人税は大企業ほど税の負担率が軽くなっていますが、なぜそうした税制ギャップが起こっているのでしょうか(撮影:尾形文繁)

10月から消費税が増税された。世界に先行する高齢化社会を迎え、社会保障に関わる財源確保が狙いというのが建前だが、グローバル企業がきちんと納税すれば財源はある。

税の第一人者である富岡幸雄氏の著書『消費税が国を滅ぼす』から、日本の法人税制についての部分を一部抜粋する。

なぜ日本の法人税制では、法律に書いてある税制と、実際に行われている税制との間のギャップが大きいのでしょうか。そして企業規模が大きいほど、税の負担率が軽くなるのでしょうか。

■日本では、課税所得の平均2割強が縮小されている

順を追って説明しますと、税制ギャップの生じる理由として、まず挙げられるのが「タックス・イロージョン」(課税ベースの浸蝕化)です。

課税ベースが浸蝕されているため、本来、課税対象となるべき所得が、課税の範囲から脱け落ちているからです。要するに、現実の「課税所得」が虫食いになり、削られ、本来の姿より小さくなってしまっているのです。

私のマクロ的な分析によると、平均して課税所得の2割強が縮小されています。なかでも巨大企業グループが多いと目される連結法人の縮小率は40%を超えています。

一方で中堅企業の縮小率は3.9%です。企業規模によって負担率の格差が生じるのは、タックス・イロージョンの度合いに差があるためです。

では、なぜこうしたタックス・イロージョンが起きてしまうのでしょうか。

まず、租税特別措置による政策減税があります。多額の研究開発費を投入できる大企業にとって有利な特別控除などの優遇税制があるのです。次に法人が法人へ払う配当金は無税になる、受取配当金の課税除外があります。さらに、日本企業の収益構造が変化し、日本の税収が減少傾向にあるほか、国境を越える課税逃れも起きています。

また、「企業の自主的経理尊重」という建前のもとで、税務会計の変則的な弾力化・自由化が行われている点も指摘できます。納税は自主申告が原則ですので、こうした弾力化・自由化を利用して、税務会計を熟知した大企業のエキスパートが、いかに課税ベースを縮小するか腐心しているのです。

加えて現行の法人税制では、税制の簡素化を理由にして、期間損益計算が変則的に弾力化されていたり、減価償却資産の資産計上基準が緩和されていたりしています。これらも課税ベース縮小化につながっているのです。

こうしたタックス・イロージョン現象は、複雑な税務会計システムのメカニズムの中に埋没してしまい、公表される財務報告書から、その企業が駆使している会計テクニックを把握することは、ほぼ不可能です。税務統計上でも明らかになることはありません。

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