テレビ災害報道の限界を超えた台風19号の猛威 あまりに広範囲で多岐にわたる甚大な被害

東洋経済オンライン / 2019年10月17日 7時10分

テレビの報道クルーは懸命に現場をかけずり回っている(写真:AP/アフロ)

過去最大級の勢力で伊豆半島に上陸し、首都圏から東北へと進んだ台風19号は東日本の各地で甚大な水害をもたらした。

NHKをはじめとするテレビ各局は、台風19号への備えや通過前後における各地の被害の様子などを報道してきているが、あまりに広範囲でその内容も多岐にわたるため、各局とも悩ましさを抱えているように見える。

■テレビ各局が報道した10月12日の緊迫した様子

まず、各局は10月12日の昼頃から「特番体制」で迫り来る台風の威力を伝えて、避難を呼びかけていた。

1958年の「狩野川台風」によく似た勢力と予想進路ということで、とくに河川の氾濫への恐れが強く、当時の映像も織り交ぜながら各地の模様を中継で伝えた。

その狩野川では夕刻、伊豆半島に上陸する以前にすでに水位が上昇し、狩野川台風には間に合わなかった「狩野川放水路」を開放して対処するなど、このあたりから「vs台風」の状況をテレビ各局は報道していく。

このとき各局は狩野川の下流、沼津市内からの中継で狩野川の様子を伝えていた。上流にあたる修善寺付近は「避難勧告」が出ていたため報道陣もうかつに近寄ることができない。

そして箱根が過去最高の雨量、静岡市内で河川が氾濫などの情報も出る中でNHKは箱根湯本の映像を繰り返し流していた。増水する早川と連休中ながらほとんど車が走っていない国道1号線の「現在」を、である。

しかし湯本は箱根の「入り口・麓」である。かつてない豪雨に襲われている「箱根山中」の映像が出てくることはなかった。あまりの雨量で記者やカメラマンでさえも箱根の山の上、元箱根や箱根町に行くことをひとまずストップしたのだろう。箱根駅伝ルートの国道1号線でさえ“危険”と判断されたのだ。

以降、相模川上流の「城山ダム」の緊急放流をめぐる情報、多摩川では川崎市高津区での浸水、埼玉で荒川水系支流の決壊情報など、次から次へと緊迫した状況が続いた。

テレビはそれらを矢継ぎ早に伝えなければならなかった。

気象庁、国土交通省、各都県の自治体などから出る「情報」を整理しなければならない。

各地の雨量、河川の水位、ダムの貯水量など刻一刻と変わるデータを把握して“危険”が迫るようであればいち早く伝える必要がある。

避難勧告が出たエリアがあればそれを伝えて「早めに、近所の人などと一緒に」と呼びかける。

この先の進路予想とこれから台風が接近するエリアへの注意喚起。そして今現在の「雨・風」の様子を伝える中継リポートの準備と、避難所の様子や被害状況の記者による「取材」の指示……。

■テレビ各局の「報道キャパシティー」を超えてしまった

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