「入場料を取る書店」がまさかの大流行した理由 お客はいったい何にお金を払うのか?

東洋経済オンライン / 2019年10月28日 8時0分

書店が次々と閉店していく中、新たな試みで売り上げをあげている店舗がある。写真はイメージです(写真:VTT Studio/iStock)

活気があった多くの業界が低迷に苦しんでいる。書店業界はその筆頭だろう。かつての名店が次々と閉店している。そんな中で、入場料を取る書店が賑わっているのをご存じだろうか?

マーケティング戦略コンサルタントであり、『売ってはいけない』の著者でもある永井孝尚氏によると、「市場縮小のような大きな変化が業界で起こった時こそ、『販売活動からはお金が取れない』という常識を見直すチャンスだ」という。そこで、業界の激動期における販売活動のあるべき姿を語ってもらった(本記事は、同書の一部を再編集したものです)。

■入場料を取る書店が大はやり

出版業界の低迷が続いている。紙の出版販売額は20年で半分に縮小しているという。ビジネス書の著者である私にとっても、ひとごとではない。なじみの書店も次々と閉店している。2018年6月には、六本木の名店「青山ブックセンター」も閉店してしまった。

今や本以外にも情報を得る手段はたくさんある。そしてネット書店のほうが、リアル書店よりも利便性は高いし、品ぞろえも圧倒的だ。リアル書店にとっては、厳しい戦いである。

そんな中で2018年の年末、閉店した青山ブックセンターの跡地に「文喫(ぶんきつ)」という新しい書店がオープンした。なんと入店する際にお金を取るという。早速、行ってみた。

店の入口で1500円+消費税を払うと、バッジが渡され、入店できる。店の構造自体は、かつての青山ブックセンターと大きく変わらない。しかし、空気感がまったく違う。いい感じになっていた。

おしゃれで、空間的にゆったりとした余裕があるカフェ、といった感じだ。

ソファー、テーブル、さらに床の間なども用意され、お客は思い思いの姿勢でくつろいで本を読んでいる。Wi-Fiも使えるので、パソコン作業もできる。

営業時間は朝9時から夜11時まで。本は読み放題。コーヒーは無料で何杯もおかわりし放題。食事もできる。大きなビーフの塊がゴロッと入っているハヤシライスもおいしい。制限時間はなく、本を読みながら飲食ができるので、何時間でも滞在できる。

店内には3万冊の蔵書がある。新刊だけではない。書店員が目利きした本ばかりだ。1冊本を取ると、その下には関連した別の本が出てくる。こうして新たな本との運命の出合いを提供してくれる。気に入った本は買うこともできる。

読んだ本は戻す必要がない。店内に何カ所かある返本台に置いておけばいい。今や、休日には10人以上が入店待ちという人気店である。

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