大学入試改革「炎上」の裏に潜むもう1つの火種 英語のみならず数学と国語でも民間試験導入

東洋経済オンライン / 2019年11月1日 7時40分

大学入試の未来はどうなるのか(写真:Fast&Slow/PIXTA)

202X年――。

「大学入学共通テスト」に導入されたAI(人工知能)採点方式の記述式問題で高得点を取るために、高校や大学受験塾の教員たちはAIの採点基準を分析し、AI好みの文章を書くための指導法を確立した。記述式問題対策をする高校生たちは、自分の言葉を脇に置き、AIが高得点をくれそうな条件を満たす文章を書く術を覚える。おのずと似たような解答ばかりになる。

■高校の授業で民間検定試験対策!?

英語に関しては民間の検定試験に完全移行した。試験を請け負う業者たちは、自社の検定なら他社よりも楽に「CEFR(セファール)」(国際的な言語運用能力指標)の「A2」に対応する成績を取れることをアピールする。各社が自前で発行する本番そっくりの対策問題集は、まるで検定攻略本。それが今や学校の教科書よりも重要な高校生たちの“学び”のバイブルだ。

高校の保護者会では、英語の授業でどの検定試験の対策を中心に行うのが有利になるかという損得勘定で意見が分かれ、英語教員は板挟みになる。一方で、富裕層の子どもたちの間では、塾・予備校・英語教室などが開催する検定試験対策の集中講座が人気だ。テスト直前期に集中的に対策すれば、合格可能性は飛躍的に伸ばせる。

2024年度からは「高校生のための学びの基礎診断」も本格的に運用を開始。要するに民間検定試験によって基礎学力の到達度を測るのだ。それが正式な成績として、大学受験の際の評定にも大きな影響を与える。

高校生たちは英語の検定試験だけでなく、数学や国語の検定試験の対策にも追われる。ある学校では毎日「英検」「数検」「文章検」の対策問題集を一定ページ数ずつこなし提出するように宿題が出る。毎週そのための小テストも行う。小テストは生徒ごとにカスタマイズされている。個別の生徒の過去の成績がすべてデータベースで管理され、AIが各生徒に最適化された小テストをそのつど作成し出力してくれるのだ。

検定試験の出題パターンは決まっているので、対策はとりやすい。とくにAI式の個別学習支援サービスとの親和性は高い。わざわざ教員が工夫を凝らした授業をしなくても、オンラインの映像授業を見せればこと足りる。

教員が楽になる分、いわゆる「アクティブ・ラーニング」など、新しい授業形式を実践して「思考力・判断力・表現力等の能力」を育成するようにと文部科学省や教育委員会は言うが、保護者からはもっと検定対策の時間を増やしてほしいという意見が強まる。

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