ゾゾの新たな船出にどうしても拭えない「不安」 進むアウトレット化、出店企業との不協和音
東洋経済オンライン / 2019年11月4日 7時35分
「お互いの弱点を補い、強いところを伸ばし合える、結婚のような提携だ。ZOZO(ゾゾ)の未来は大きく開かれる」
9月12日、ヤフー(現Zホールディングス〈ZHD〉)によるゾゾの買収会見で、ゾゾの創業者で筆頭株主の前澤友作氏は感慨深げにこう語った。前澤氏は月旅行の準備などを理由に同日付で社長を辞任し、保有株も大半を売却する意向を示した。
■創業21年目にして最大の転換期
『週刊東洋経済』は11月5日発売号で「EC・決済覇権バトル」を特集。ZOZO買収、消費増税で一気に過熱してきた300兆円の家計消費をめぐる頂上決戦を追っている。
国内最大のファッション専門EC「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を運営するゾゾは、創業21年目にして最大の転換期を迎えている。約1300ある出店ショップからの手数料を収入源に成長の階段を駆け上がってきたが、2019年3月期は上場後初の営業減益に陥った。株価も2018年7月のピークから、足元はその約半分まで下落している。
最大の要因は、第2の収益柱を目指したPB(プライベートブランド)事業の失敗にある。2018年1月に販売を開始し、無料配布した採寸用ボディースーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」での計測データを基に、顧客一人ひとりに最適なサイズの商品を送るという、近未来的な販売手法で拡販をもくろんだ。
だが、生産面の準備不足でゾゾスーツやPB商品の数カ月に及ぶ配送遅延が多発。一部の顧客から「届いた商品のサイズが合わない」という声が上がり、採寸精度の問題も露呈した。2019年3月期のPB売上高は期初計画の200億円を大きく下回る27億円となり、PB事業は大幅な縮小を余儀なくされた。
ゾゾタウンの成長自体にも陰りが見え始めている。2020年3月期の中間(4~9月)決算では、直近2年間で2~3割の伸びを続けた商品取扱高が、前年同期比プラス1割強にとどまった。
懸念されているのが、アパレル企業による“ゾゾ離れ”だ。これまでECサイトの運営ノウハウが自社になかったアパレル企業の多くは、集客力があるゾゾタウンにECの多くを頼ってきた。商品撮影から出荷までフルサービスで業務を受託するゾゾタウンはアパレル企業にとって手間がかからない一方、平均3割とされる販売手数料がネックになっていた。ゾゾの専用倉庫に置く商品在庫も、ゾゾタウンでのショップの売り上げが伸びていれば問題なかったが、最近は返品リスクが高まりつつある。
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