マツダ、販売低迷でも「値引き」に走らない事情 アメリカや中国で苦戦、2期連続の減益見通し

東洋経済オンライン / 2019年11月4日 7時30分

今後のアメリカの販売を左右するコンパクトSUV「CX-30」。年内にも現地での販売を開始する予定だ(撮影:梅谷秀司)

「負けは負けなのでこれは挽回しなくてはいけない。ただ、台数を追い求めて販売の質を悪化させるのではなく、質を維持して台数との両立を図っていく」。マツダの藤原清志副社長は厳しい経営環境を乗り越えていく強い決意を示した。

11月1日、マツダは2020年3月期の連結業績予想を下方修正した。売上高見通しは前期比2%減の3兆5000億円と、従来予想の3兆7000億円から2000億円引き下げた。主力市場の北米や中国で販売が低迷していることを受け、世界販売台数も従来予想の161.8万台から6.8万台引き下げ155万台(前期比1%減)とした。

営業利益の予想は前期比27%減の600億円と、当初予想の1100億円から500億円引き下げ、増益予想から一転して減益見通しに。業績予想通りなら、2期連続の営業減益となる。

■大幅下方修正の要因は販売低迷にあらず

ただ、販売低迷が今回の営業利益の下方修正につながったわけではない。インセンティブ(販売奨励金)を抑制し、台当たり収益を高めたことで、販売台数の減少によるマイナス影響を相殺。下方修正の主要因は為替レートが想定よりも円高で進行し、日本からの輸出採算が悪化していることにある。マツダは期初段階で1米ドル110円、1ユーロ126円と想定していたが、今回1米ドル107円、1ユーロ119円と円高方向に見直した。

この結果、前期比較では為替影響が営業利益を799億円押し下げる見通しだ。コストの改善で211億円、販売面での収益改善で477億円を積み上げても、為替影響を吸収できず、営業利益は前期を200億円あまり下回ることになる。

為替影響799億円のうち、米ドル分は11億円とむしろ小さい。アメリカ向けは日本からの輸出が多く、海外からドル建てで購入する部品を増やして為替リスクを減らす取り組みが奏功した。

一方、ユーロの影響は244億円、オーストラリアドルも同208億円と金額が大きい。マツダの主要生産拠点は日本、タイ、メキシコ、中国。ヨーロッパやオーストラリアには生産拠点がないため、日本などからの輸出でカバーしている。海外で現地生産し、部品の現地調達を進めれば、為替影響は抑えられるが、小規模メーカーであるマツダが世界各地に工場を持つことは現実的には難しい。それゆえに「為替感応度の低いアメリカや日本で販売台数を伸ばすほうが業績安定につながる」(古賀亮専務執行役員)。

アメリカはマツダにとって最重要市場だ。マツダの世界販売台数に占める割合は2割だが、販売価格が高く利幅の大きい大型車の比率が高いため、 「全社の利益の半分近くを稼いでいる」(国内証券アナリスト)とも言われる。とりわけ収益性が高いのが北米専用の大型SUV「CX-9」で、最上級グレードは4万5000ドル(約490万円)を超える。会社の業績を牽引する重責を担うはずのアメリカ販売だが、2019年4~9月期は前年同期比9%減の13.7万台とふるわない。市場全体がほぼ横ばいで推移する中、苦戦している。

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