ヤマト「アマゾンの仕事が戻らない」誤算の真因 「荷主の離反」に株価は直近ピーク時の半値へ

東洋経済オンライン / 2019年11月12日 7時25分

ヤマトの宅配便シェアは2018年度でも4割を超えるが、その存在感は揺らぎ始めている(撮影:大澤 誠)

失った信頼の代償は、大きかった。

ヤマトホールディングス(HD)は10月31日、2020年3月期の業績見通しを下方修正した。営業収益は250億円減額して1兆6700億円(前期比2.7%増)に、営業利益は同100億円引き下げ、620億円(同6.3%増)を見込んでいる。

主力のデリバリー事業において、大口法人顧客の取扱数量が想定を下回ったことなどが響いた。中核子会社のヤマト運輸は2017年春から法人向けの運賃値上げを進めているが、それによって顧客である荷主がヤマトから離れてしまった格好だ。

■アマゾンのヤマト向け委託比率は3割に低下

「ヤマト離れ」した大口法人顧客の中で、最も大きい存在がアマゾンだ。佐川急便に代わり、2013年から大部分のアマゾンの荷物をヤマトが扱っていたが、2017年に従業員に対する未払い残業代問題が発覚。ヤマトは働き方改革の一環として宅急便の荷受け量抑制と運賃値上げなどの事業構造改革を進め、結果的にアマゾンの荷物の取扱量が減少した。

再配達問題解決アプリ「ウケトル」のデータによると、アマゾンのヤマトへの委託比率は2017年4月時点で7割強あったが、2019年5月時点では3割強まで下がった。

アマゾンが日本で出荷する荷物は年間で推定5億個に及び、単純計算で年間約18億個にのぼるヤマトの取扱荷物の3割弱を占める。比率が縮小したとはいえ、ヤマトにとってアマゾンが最大の顧客であることは間違いないとみられる。

アマゾンの荷物の数量が減ること自体はヤマトの想定どおりだったが、今期になっても数量が戻ってこないことは誤算だった。

事業構造改革を経て、今期の取扱数量は前期比3.9%増を見込んでいたが、2019年4~9月期は0.6%増にとどまった。荷物量の回復に備え、午後の配達に特化した配達員「アンカーキャスト」を2020年3月末までに1万人を採用する予定だったが、荷物量の回復力が鈍く、採用はいったん凍結している(2019年9月末時点で約6500人)。

■アマゾン、楽天が相次ぎ自前物流を強化

誤算の背景にあるのは、荷主による物流の自前化だ。アマゾンはSBS即配サポートや丸和運輸機関(SBSと丸和運輸のトップインタビューを週刊東洋経済PLUSに掲載)といった地域限定の配送業者「デリバリープロバイダ」への委託を強化しているほか、個人事業主のドライバーに直接業務委託する「アマゾンフレックス」を2019年1月から本格的に始めている。アマゾンフレックスは現在、関東圏・愛知県・宮城県・北海道で展開している。

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