「認知症」で別人格になった母を介護できますか 小学生の娘との関係も悪くなってしまった

東洋経済オンライン / 2019年11月13日 8時20分

東京で小学1年生の娘の子育てをしながら、東北の母を介護する「遠距離介護」を行っていた女性。ダブルケアを乗り越えるヒントとなったのは?(筆者撮影)

子育てと介護が同時期に発生する状態を「ダブルケア」という。ダブルケアについて調べていると、子育てと介護の負担が、親族の中の1人に集中しているケースが散見される。

なぜそのような偏りが起きるのだろう。

連載第4回は、東京で小学1年生の娘の子育てをしながら、東北の母親を介護する「遠距離介護」を行っていた女性の事例から、ダブルケアを乗り越えるヒントを探ってみたい。

■母が双極性障害?

東京都在住の桜井幸子さん(仮名、44歳)は東北出身。結婚を機に15年前上京した。

父は桜井さんが20代の頃、50代半ばで亡くなっている。母は実家で姑を介護していたが、7年前に看取ってからは1人暮らしをしていた。桜井さんには2歳離れた妹がいたが、結婚や出産のことで仲たがいしたことを機に、母と妹は勘当状態。桜井さんは一度、妹の嫁ぎ先に行ったことがあるが、「もう来ないで」と言われたため、10年以上連絡を取っていない。

桜井さんは事務の仕事をしていたが、2008年に娘の出産を機に退職し、子育てに専念していた。そして2015年、小学校入学前の春に娘とともに帰省していた桜井さんは、年末年始以来会っていなかった母に違和感を覚えた。

「しきりにイライラしているし、料理が好きな人だったのに、『もう料理はしてないの』と言っていて、おかしいなと思いました。後から知ったのですが、母は自ら病院に行き、双極性障害(そううつ病)と診断されたようです」

桜井さんは1年ほど前から、母から毎日頻繁にかかってくる電話に悩まされていた。電話の内容は、はじめは他愛のない愚痴だったが、徐々に不安や気分の落ち込みを訴え始め、ときには泣きながらかけてくることもあった。

桜井さんは時間を作って帰省し、母に付き添って病院へ行った。すると医師は、「お母さんは自殺する可能性がある。どなたかそばにいられませんか?」と言う。「東京の私の家へ連れていくか、入院するのはどうでしょうか?」と桜井さんが尋ねると、母が家を離れるのを拒んだ。仕方がなく東京に戻ると、また電話に悩まされる日々が続く。

ところがある日の電話で、「私、入院することにするわ」と母。桜井さんは面食らいつつも、翌日、娘を夫に預けて入院手続きに向かった。東北の実家までは、東京からドアツードアで5~6時間くらいだ。

それでも桜井さんは、2週間に1回は母の見舞いに通った。当初桜井さんは、3カ月もすればよくなると思っていたが、だんだん表情がなくなり、院内で転倒を繰り返し、ついに車椅子状態に。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング