京急事故、運転士にブレーキ判断の余裕あった? 信号機、当初説明の600m手前からは見通せず

東洋経済オンライン / 2019年11月13日 7時0分

9月5日に京急線で発生した踏切事故の現場(写真:AFP=時事)

京浜急行電鉄は11月12日、神奈川県横浜市の「神奈川新町第1踏切」で9月5日に発生した列車と大型トラックとの衝突事故について、信号設備や運転方法から見た再発防止対策の一部を発表した。

踏切の異常を知らせる「発光信号機」のうち、踏切から最も遠くに設置する「遠方用発光信号機」をさらに遠い位置に増設する。発光信号機が点滅した場合の運転マニュアルも、これまでの「速やかに停止」から「直ちに非常ブレーキ」を基本とした。

■「直ちに急ブレーキ」を基本に

発光信号機は、列車の速度などから逆算し、ブレーキを操作すれば踏切での衝突を回避できる位置に設置する。今回の事故での最大の疑問は、それにもかかわらず、なぜ衝突事故が起きたのかという点だ。

ブレーキについて、これまで同社の規定では、列車を停車させる際は通常「常用ブレーキ」を原則とし、停止すべき位置までに停まれない場合、とくに発光信号が点滅している場合は「速やかに停止する」としていた。これを、発光信号の点滅を確認した場合は直ちに非常ブレーキを扱うことに改めた。

非常ブレーキは自動車で言えば急ブレーキで、事故を回避するために非常ブレーキを使用するのは当然に思える。ただ、列車の場合は少し事情が違う。「非常ブレーキを扱うと、乗客が転倒するなどして負傷する恐れがある」(同社安全推進部)ためだ。

「衝突は回避できたが乗客が負傷した」は許されない。発光信号の点滅を確認した運転士は瞬間的に、常用ブレーキで停めるか、非常ブレーキを併用するかの判断を迫られていた。

また、どの程度のスピードであれば非常ブレーキを使うかという速度域も、具体的には示されていなかった。「高速でも非常ブレーキで止まる瞬間に衝動が起きたりする。低速でも動き出した瞬間であれば衝動が強く感じることもある。乗客の体勢によって衝動が大きくなったりして、一概に何キロが厳しいとはいえない」(運輸営業部)ためだという。

事故当時、運転士は規定に従って、常用ブレーキを使用した後に非常ブレーキを使用した。「どの時点でどのブレーキを使ったかは調査中」(施設部)だが、列車は結果的に、事故現場となった踏切の中心から約70m(当初は約90mとしていたが、同日訂正した)通りすぎて停車した。

■600m手前からは見通せなかったが…

事故現場となった踏切は時速120kmを出せる区間だ。発光信号機は踏切の600m手前から視認できなければならない。

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