牛の角も材料!何とも「風変わりな農法」の中身 バイオダイナミック農法とは何か

東洋経済オンライン / 2019年11月16日 7時40分

「牛の角」を持ったバイオダイナミック農法を実践する、スペインのワイナリーの醸造家(筆者撮影)

「バイオダイナミック(ビオディナミ)」という言葉をご存じだろうか。オーストリアやドイツで活躍した学者ルドルフ・シュタイナーが提唱した農法の一種で、ワインや自然派コスメの分野を中心に静かに広がりつつある。横文字だとおしゃれな印象だ。

が、雌牛の角に糞や水晶の粉を詰めて土に埋めたあと、希釈したものを散布したり、牛か馬の頭蓋骨にオークの樹皮を砕いて詰めて寝かしたものを使ったりするなど、独特な調合剤を用いる世界は、摩訶不思議で科学では説明がつかないことも多い。

バイオダイナミックの農法を知った時には、少なからぬ違和感があった。でも、そのワインを飲んでみたら、もしかしたら、違う世界が広がっているのかも。そう思わざるをえなかった。ワイン業界関係者は「バイオダイナミックのワインは一種の流行にもなり、認証を受けないものの、その要素を取り入れているワイナリーも世界各地で増えている」という。

■雑草は抜かずにそのまま

「この畑は生態系の一部として存在しています」。スペイン北東部カタルーニャ州の州都バルセロナから南西約40キロにあるスパークリング・ワイン「カバ」の一大産地ペネデス。そこにあるワイナリー「パレス・バルタ」で、醸造家の若い男性は、穏やかな声でバイオダイナミック農法について語り始めた。だが、ブドウ畑は一見すると、どこにでもあるような畑との見分けがつきにくい。

若き醸造家は、自然農法で海外にもその名前が知られる故人・福岡正信氏の名前を出し、自然や生態系と調和した手法でブドウを栽培していると説明。「何よりも観察が重要だ」と訴える。畑に息づく動植物を観察し、ブドウが必要としているものを理解するのだ。ブドウの畝と畝の間には、雑草が生い茂る。忙しくて手が回らなかったわけではない。

本来、地表は草や木に覆われているのが自然の姿だ。人間が大規模な農業のために木々を伐採し、表皮を剥いだ状態にした。雑草を自然のまま生やすことで、土壌から水分が奪われるのを防ぐ役割を果たす。また、雑草はてんとう虫などの益虫の棲みかになり、虫を食べる鳥もさえずる豊かな生態系をブドウ畑の中で展開させることにより、農薬を使わない栽培を実現しているという。

雑草が高く生い茂って太陽を遮ったり、過度に栄養を吸収したりするようになった場合にはどうすればいいのか。時々、近くの農家に頼んで羊やヤギをブドウ畑に放して雑草の成長をコントロールする。雑草の種類や勢いなどによって、土壌の健康状態や栄養状態を判断する指標にもなる。ただ、このあたりの説明は有機農業や自然農法と差異はなく、究極の有機農法といわれるバイオダイナミック農法の一端を垣間見たにすぎない。

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