「走りたい」をかなえる競技用義足に普及の課題 パラアスリート山本篤選手が教えるクリニック

東洋経済オンライン / 2019年11月16日 8時20分

義足のトレーニングで参加者に教える様子。ボールを持っているのが山本篤選手、右から1人目がハインリッヒ・ポポフ氏(筆者撮影)

アラブ首長国連邦のドバイでパラ陸上の世界選手権が11月7~15日に開催された。この大会で4位以内に入った日本選手は、2020年東京パラリンピックの代表に内定するという重要な大会でもある。大会4日目、男子走り幅跳びT63(義足のクラス)で、山本篤選手(37)が6メートル40センチを跳び、銅メダルを獲得した。

山本選手は、2008年の北京パラリンピックの同種目で銀メダルを獲得、義足の陸上選手としては日本選手初のメダリストになった。2016年リオデジャネイロパラリンピックでも銀メダルを獲得、パラ陸上界のエースだ。

その山本選手が世界陸上出発前の10月下旬、千葉県浦安市の明海大学浦安キャンパスで行われた「ランニングクリニック2019」で下肢切断者に「走る」基礎を教えた。開催したのは義足・義手・車いすなどのメーカーで、1988年ソウルパラリンピックから大会での修理サービスを始め、2020年東京パラリンピックのオフィシャルサポーターでもあるドイツのオットーボック社だ。

■競技用義足とは何か

男女10人が参加し、スポーツの競技用義足を使って「最後は走れるようになります」(山本選手)という3日間のクリニック。2015年から行われており、山本選手と同じクラスでのリオデジャネイロパラリンピックの金メダリストで現日本代表コーチ、オットーボック社のアンバサダーを務めるハインリッヒ・ポポフ氏が一緒に指導に当たった。

下肢切断者が普段の生活に使っている義足は、足と同じ形をしているが、スポーツ用の義足は、テレビなどで見たことがある人が多いように、曲がっている板バネ(ランニングブレード)と地面に接地する部分のソールから成る特殊な形をしている。

切断個所によって、義足に使われるパーツが変わってくる。

例えば膝より上の大腿切断をしている人は、膝継手という、膝関節の役割をするパーツにランニングブレードを装着し、残っている大腿部につけるソケットと呼ばれるカバーに取り付けて使用する。

クリニック2日目、義足の調整や基礎トレーニングを終え、実際に屋外のグラウンドで競技用義足を使用した。 

この日はサッカーボールを用いて、義足を使って蹴るトレーニングから始まった。みんな、初めて義足でボールを蹴るということを体験しているのだろう。うまく蹴ることができないのだが、徐々にコツを覚えていくのか、格好よく蹴る人も出てくる。

山本選手とポポフ氏が参加者を回って声をかけ、義足をうまく使うための指導やストレッチ、筋力、とくに体幹を鍛えるトレーニング方法などを教えていく。参加者のほとんどが初めて競技用義足をつけてみたのだという。

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