上沼恵美子「関東人が知らない」圧倒的な魅力 マツコも尊敬する「関西の超大物タレント」

東洋経済オンライン / 2019年11月17日 7時40分

海原千里・万里はアイドル的な人気を博していて、上沼は「お笑い界の白雪姫」と呼ばれていた。全盛期にはテレビ・ラジオのレギュラー番組を十数本抱え、歌手としてレコードも出しており、1976年にリリースされた『大阪ラプソディー』は40万枚を超える大ヒットを記録した。

その後、上沼は結婚を機にコンビを解散し、芸能界から引退してしまった。だが、1979年にNHKの朝ドラ「鮎のうた」に出演したことをきっかけに、芸能界に復帰。それ以降は、持ち前のトーク力を生かしてバラエティー番組で活躍した。1994年と1995年には2年連続で「NHK紅白歌合戦」の紅組司会を務めた。

いわば、彼女は「漫才師」「歌手」「テレビタレント」という3つの分野で頂点を極めた圧倒的な実績を誇る超一流芸人なのだ。そんな彼女に対して「偉そうにモノを言う」という批判は的外れである。なぜなら、それほどの偉業を成し遂げているのだから。

確かに、好き嫌いがはっきりしていて、ダメなものはダメと言い切る上沼の話芸が、賛否両論分かれるものであるのは事実だ。だが、それは彼女が目の前のことに本音で向き合っている証しでもある。建前を嫌い、普通の人が言いたくても言えないところまで踏み込んで話をする姿が、中高年女性を中心に圧倒的な支持を受けているのだ。

あのマツコ・デラックスも著書の中で上沼の大ファンであることを公言している。一時期は上沼の番組を見るために大阪移住まで考えたほどだという。

今どきの芸人の間では、誰かに対してキツいイジリを仕掛けたとしても、それを見た人が不快な思いをしないように、どこかでフォローを入れるというのがお約束になっている。誰もが多かれ少なかれその慣習に従っている。

だが、上沼はそれをやらない。非・吉本の芸人である上沼は、組織に属さないし、多数派に媚びないのだ。あくまでも自分の信念や感性に基づいて、シロはシロ、クロはクロと言い切る。その発言に対する責任もすべて自分で背負う。この潔さこそが、上沼が長年愛されている最大の理由だろう。

■東京でも必ず成功する

大阪中心の活動を続けてきた上沼だが、ここへ来て新たな動きもある。11月1日には「上沼恵美子×坂上忍の東西べしゃり歌合戦」(フジテレビ系)という特番が放送された。フジテレビの番組に出演するのは約20年ぶりだという。

また、11月8日には「快傑えみちゃんねる」に松本人志がゲスト出演したことも話題になった。これらは上沼の本格的な東京進出への布石なのかもしれない。大阪ローカルタレントの「最後の大物」である彼女の東京進出が実現したら、東京のお笑い界に激震が走るだろう。

東京では、中年の女性タレントで世間のご意見番となるような存在は和田アキ子ぐらいしか見当たらない。そのポジションはまだまだ空いている。上沼のどぎつい芸風が全国の人にとって当たり前のものとして受け入れられるようになるのも、それほど先の話ではないかもしれない。

ラリー遠田:作家・ライター、お笑い評論家

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