通勤客が知らない、電車「混雑率」のカラクリ 輸送力の算出根拠は各社によって異なる

東洋経済オンライン / 2019年11月19日 7時0分

続いて、輸送力に着目してみよう。輸送力を改善した路線を上から順に見ていくとトップは小田急小田原線で25.5%。ピーク時間帯の運行本数が29本から36本に増えた結果だ。2018年3月の複々線効果が如実に表れているといえる。

2位は都営地下鉄新宿線の20.6%。ピーク時間帯の運行本数を16本から17本に増やしたほか、笹塚駅の引き上げ線を改良したことで、1編成当たりの車両数が長い列車の本数を増やすことができた。

一方で、3位の三田線はピーク時間帯の運行本数を18本から20本に増やして輸送力を11.1%改善したにもかかわらず、混雑率はむしろ悪化した。輸送人員の増加には追いつかなかったということだ。同率でやはり3位の横須賀線も同じ構図だ。

輸送力を減らしている路線も結構ある。ピークシフトや競合路線へのシフトで輸送人員が減れば、それに見合うように輸送力を減らすのは当然だ。輸送力を減らした結果、混雑率が高くなっても混雑率の水準が低ければ許容できる。たとえば東武伊勢崎線は2008年度から2018年度にかけ輸送力が10.6%減ったが、混雑率は悪化したといっても150.0%だ。このように輸送力を減らした路線の多くにおいて2018年度の混雑率は高くない。しかし、東急田園都市線はいまだに混雑率が182%と高いにもかかわらず、10年間で輸送力が5.6%減ってしまった。ピーク時間帯の運行本数を29本から27本に減らしたのだ。

同社によれば、「ホームドアの設置が進み、駅の停車時間が少しずつ長くなった」。その結果、運行時間が長くなり、最混雑時間帯を走る列車本数が減ってしまったというわけだ。ホームドアの設置によってホーム転落事故がほぼなくなり、安全運行につながっていると考えれば、本数の減少は仕方ないことかもしれない。

田園都市線の輸送力では、気になる点がもう1つある。相互直通運転する東京メトロ半蔵門線の輸送力との比較だ。田園都市線の輸送力は4万0338人。半蔵門線の輸送力は3万8448人。両者の間には1890人の開きがあり、10両編成の列車1本の乗車人員くらいの違いがある。

■直通路線でも輸送力が違う「謎」

ところが、両者の輸送力の算出根拠はどちらも10両編成×27本となっている。両者の最混雑時間帯と最混雑区間は田園都市線が7時50分~8時50分の池尻大橋→渋谷間で、半蔵門線が8時00分~9時00分の渋谷→表参道間。両者の間には連続性がある。では、なぜ輸送力が違うのか。

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