2020年の北朝鮮、対話かそれとも軍事挑発か 新年の辞は発表せず、金委員長はどう動くか

東洋経済オンライン / 2020年1月8日 7時40分

2019年12月29日、平壌で行われた朝鮮労働党中央委員会第7期第5回総会の2日目で報告する金正恩・朝鮮労働党委員長(写真:朝鮮通信=時事)

北朝鮮が設定した米朝非核化交渉の期限を越えた1月1日、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長は恒例の新年の辞を発表せず、同党中央委員会第7期第5回総会の結果を報道した。その中で、核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)の試験発射を一時中断した「モラトリアム」を止める可能性を示唆した。

北朝鮮はアメリカが北朝鮮への敵対視政策を先にやめるべきだという立場を変えていないが、非核化交渉を中断するとははっきり言っておらず、アメリカとの対話の余地を残した。

■アメリカは「強盗さながらの態度」をとっている

朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は1月1日付で、2019年12月28日から4日間にわたって行われた総会の結果を報道した。

金委員長は「アメリカがわが国家の根本利益に反する要求を掲げて、強盗さながらの態度をとっている。そのため朝米間の膠着状態は不可避であり、長期にわたる」と述べた。続いて、アメリカに対し、「今までわが人民が受けた苦痛と発展できなかった代価をすべてアメリカに払わせるために衝撃的な行動に移る」と警告した。

また金委員長は、2018年4月の第4回総会で核実験とミサイル試験発射を一時中断(モラトリアム)すると宣言していたことを指摘。「アメリカはこれに相応の措置で応えるどころか、韓国との合同軍事演習を数十回も行い、最新の戦争装備を韓国に搬入してわれわれを軍事的に威嚇した。守る相手がいない公約に、われわれだけがこれ以上縛られていることはない」と述べた。

この発言は、核・ミサイル試験のモラトリアムを変える可能性を示唆したものだろう。金委員長はまた、「世界はまもなく、新たな戦略兵器を目撃するようになる」と宣言した。

しかし、金委員長は「われわれの核抑止力の強化の幅と深度は、アメリカの今後の朝鮮に対する立場によって修正されうる」とも述べ、すぐさま軍事挑発は行わないという行動の余地を残した。

とくにアメリカを非難しながらも、トランプ大統領について言及せず、非核化交渉の中断をもはっきりと宣言していない。「曖昧な戦略」を採ったという指摘が出ている。

■核と経済の「並進路線」へ事実上復帰

金委員長は「制裁による、北朝鮮を封鎖するかのような策動をすべて破綻させるため、われわれは正面突破戦に邁進すべきだ」と強調した。結局、北朝鮮が交渉の期限以降に進むべき「新たな道」とは、対北制裁の長期化に合わせた自衛的な国防力強化と、経済的な自力更生のことだと考えられる。

2013年に宣言し、2019年に「達成した」とした「核武力と経済開発の並進路線」への復帰を公式に宣言したわけではないが、事実上の復帰だという指摘もある。

金委員長は2013年から毎年、肉声による新年の辞を発表してきた。全員会議の結果を報道することで新年の辞に代えたのは今回が初めてだ。

韓国・統一研究院の洪珉(ホン・ミン)北朝鮮研究室長は「新たな道の初期の局面で、今後は交渉の幅を狭めるため、曖昧な戦略を採った。2017年以前の核開発への道と、2018~2019年に交渉による制裁解除を模索したやり方とは違い、新たな道は交渉の長期化を前提とした戦略兵器の開発を進める道だと思われる」と述べた。(「ソウル新聞」2020年1月2日付)

ソウル新聞

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