45人殺傷の「植松聖被告」が直面する裁判と現実 麻原彰晃元死刑囚の裁判でも重なる所がある

東洋経済オンライン / 2020年1月11日 7時35分

知的障害者入所施設「津久井やまゆり園」で45人が殺傷された事件の初公判で、傍聴整理券を求めて並ぶ人たち=8日、横浜市中区(写真:時事通信社)

神奈川県相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で2016年7月に、入所者ら45人が刺され、うち19人が死亡した事件で、殺人罪などに問われた植松聖(さとし)被告(29)の初公判が、1月8日に横浜地裁で開かれた。

犯行以来、髪を切っていないという植松被告は、腰のあたりまで伸びた髪を束ね、黒のスーツに紺のネクタイ姿で法廷に姿を現すと、罪状認否で裁判長から、起訴状の内容に間違いがないか、と問われて「ありません」とだけ小さく答えて、すべての殺傷行為を認めた。そうなると、裁判の争点は責任能力の有無に絞られる。

弁護側は、大麻の乱用によって、犯行時は薬物性精神障害の影響による心神喪失もしくは耗弱にあったと主張する。心神喪失なら無罪、耗弱なら減刑が見込まれ、極刑はまずない。

一方の検察側は、捜査段階での精神鑑定で「自己愛性パーソナリティー障害」とされたことから、刑事責任を問えるとして起訴している。

■被告が突如暴れ、休廷に

その罪状認否の直後だった。

弁護人が意見を述べた後、発言を促された植松被告は、「皆様に深くお詫びします」と、初めて謝罪の言葉を口にすると、いきなり前屈みになって、両手を口の中に押し込む行為をとった。

横浜地裁によると、右手の小指を噛み切ろうとするものだったという。裁判長が制止を求め、複数の刑務官が止めに入るも暴れ出したことから、床に押さえ込むなどして、法廷は混乱し、そのまま休廷に入った。

そして、昼を挟んで再開廷した法廷に、植松被告の姿はないまま、裁判は進んだ。

この施設の元職員だった植松被告は、7月26日の午前2時頃に、ハンマーで入所者の居住棟1階の窓ガラスを割って施設内に侵入。用意していた結束バンドで職員らを拘束すると、寝ている障害者を持参した刃物で次々と刺していった。それもわずか1時間ほどの間に45人を傷つけ、そのうち19人の命を奪ったことになる。

世界を震撼させた地下鉄サリン事件でも、死者は13人だった。1つの事件での犠牲者の数は2019年7月に発生した京都アニメーション放火事件で36人が死亡、33人が負傷した事件に次ぐ規模だ。

大量殺害事件を引き起こす人物には、いくつかの共通点を見つけることができる、と私は以前に書いた『45人殺傷「植松被告」に見る大量殺人犯の共通点』(1月7日配信)。

項目を列記すると、以下のようになる。

①恵まれない境遇に対する不満、こんなはずではなかった、という欲求不満が蓄積する。
②自分は悪くない、正しい、周りが間違っている、という〝他責的傾向〟が強い。
③孤立。
④自己顕示欲が強い。
⑤犯行を肯定する独善的な論理や大義が加わる。

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