会社の「定年後の生き方研修」が役に立たない訳 60歳以降の再雇用もこれからはラクじゃない

東洋経済オンライン / 2020年1月16日 7時20分

アラフィフの人は「60歳以降もいまの会社が少しは面倒を見てくれる」と考えていないだろうか。それは甘い考えだ(写真:Kazpon/PIXTA)

「みんなが同じことをしている」といわれると、何となく気になるものです。2019年6月以降メディアで話題になった「老後資金2000万円足りない」問題は、その典型でしょう。そこで語られた老後の暮らしは特定グループの平均値であるにもかかわらず、あたかも「みんな」が同じ問題を抱えているかのように錯覚され、大騒ぎになりました。

それでも、筆者のお客様の中には、「2000万円問題」をきっかけにして自らのライフプランを見直し、改めて資金計画に取り組んだ人がいました。何事も、平均値を鵜呑みにせず、そのデータをどう自分自身に落とし込むかが大切なのです。

会社が開催する「ライフプランセミナー」も同じです。筆者は、ファイナンシャルプランナーとして、企業のライフプランセミナーに講師として招かれることがありますが、セミナーは「会社の意図」を反映して行われるものなので、ここでもやはり「みんながどうしているか」ではなく「自分事」として適切なアクションを起こすことが大切なのです。そうしないと人生を左右されるかもしれない、といっても過言ではないと感じています。

■ひと昔前は「たそがれ研修」だったが…

ライフプランセミナーを開催する会社の意図というのは、時代背景とともに変わります。したがって、社員に伝えるメッセージも変わります。変わらないのは、そのメッセージがすべての社員に当てはまるわけではない、ということです。

かつてのライフプランセミナーといえば、定年間際の社員向けの、いわゆる「たそがれ研修」が主流でした。もちろん、セミナーにそんな名称がついてはいませんが、定年後の社員が燃え尽きて無気力になったり、職場という居場所を失って家庭で「濡れ落ち葉」になったりしないようにする内容でした。

実際、筆者もセミナーの講師を依頼されるときに「何とか今後の人生を楽しく暮らすことができるように、モチベーションアップを促してください」といった要望を受けることが多くありました。

当時、セミナーの冒頭でよく使われていたのが「キョウヨウとキョウイクが大事ですよ」というフレーズです。ここでいうキョウヨウは、教養ではなく、「今日の用事」。何かしら用事をつくりましょう、ということです。キョウイクとは「今日行くところ」。毎日家でゴロゴロしていてはダメですよ、という意味です。

当時のセミナーでは「24時間時計」を埋めるワークもありました。現役時代の24時間時計は、起床、身支度、通勤、仕事、残業、帰宅、風呂、就寝……など、あっという間に埋まりますが、定年後はそうはいきません。

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