選挙ポスター公費請求「水増し」もありうる欠陥 専門家「厳しい目を注ぎ実態浮き彫りにせよ」

東洋経済オンライン / 2020年1月20日 7時50分

選挙ポスター代金の請求単価は、立候補者によって4~5倍近い差がある。“水増し請求”を生む背景には何があるのか(写真:ロイター/アフロ)

ポスターやビラの印刷代金などを公費で負担する日本の選挙制度は、資金の乏しい人でも立候補できるように、との考えに基づいている。しかし、制度の枠組みが実態に合っていなかったり、制度の隙間を都合よく利用したりといったことが生じているとしたら、事情は異なる。

東京都選出の現職の衆議院議員37人(小選挙区と比例復活)の中で、ポスター代金の公費負担が限度額の100%だった議員は9人いた。一方、50%未満は12人で、このうち3人は25%未満だった。1枚当たりの単価の最安値は257円、最高値は1290円。公費の請求単価には4~5倍近い差がある。どの候補のポスターも同じように見えるのに、なぜこんなに差が出るのか。“水増し請求”を生む背景にも踏み込みつつ、専門家らに語ってもらった。

■元秘書「公費は上限いっぱいで請求するもの」

有力国会議員の秘書として長く働いてきた男性によると、ポスター代に限らず、「(候補者はそもそも)公費で出るものに関しては、上限いっぱいまで請求しようとする。それが普通の心理」と言う。

「ポスター代金も含め、公費負担の水増し請求など昔からありました。限度額を請求している陣営は(制度に精通した)ベテランがお金を処理している場合が多いと思う。印刷業者が後援者メンバーなら、当然、お金をキックバックしていることもあるかもしれません」

そうした本音や実態を前に、日本大学法学部助教の安野修右氏は「ポスター代を含む公費負担制度は改正ではなく、廃止すべきだと思います。今の制度は本来の趣旨から大きく乖離しています」と言い切る。公費負担は“持たざる者”に対する措置――。安野氏は、そうした点も“思い込み”にすぎないという。

安野助教が続ける。

「公職選挙法は立候補の機会均等や選挙運動の機会均等などを目的に、選挙ポスターやビラ、ガソリン、看板などの代金を公費で賄っています。けれども、それらは法定得票率に達した候補者のみが恩恵に浴する限定的なものです。供託金も法定得票率を得た候補には返還されますが、達しなかった候補は没収されます。

つまり、現行の公費負担制度は『地盤』『看板』『カバン』を持っている候補に手厚く、持たざる者に冷たい仕組みなのです。立候補や選挙運動の機会均等は有名無実です」

そうした視点からは、選挙ポスターをめぐる「4~5倍近い請求金額差」はどう映るのか。

「今の仕組みは持っている候補を優遇するだけではありません。(候補者とその発注先は結託すれば、ポスターの単価を実勢価格よりも高くするなど)水増し請求なども可能です。今の仕組みを点検すればするほど、制度悪用の余地を与えているといった思いを強くします」

■業者からの資金還流 「完全防止には法改正を」

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