経営危機の「女子校」を一変させた校長の手腕 武蔵野大学中学・高校を変えた「日野田直彦」

東洋経済オンライン / 2020年1月28日 7時20分

40年以上前に作られた図書館も日野田校長のアイデアでリニューアル。リラックス&協創できる「21世紀の図書館」として生まれ変わった(写真:筆者撮影)

教育関係の取材でさまざまな学校を訪れているが、最近、大きく変わったと感じた学校がある。東京都西東京市にある武蔵野大学中学校・高等学校(中学は2019年から、高校は2020年から共学化)。2017年、女子校だった武蔵野女子学院時代に授業取材をしたことがあるが、とくに中学は人数が少なく、内心、大丈夫なのかと心配になった。仏教を教育の軸に置く伝統校で、ICT化・グローバル化を進めようとしていたのだが、なかなかうまく機能していない印象だった。

ところが2019年、久しぶりに取材で訪れると校内の雰囲気も、授業風景も一変していた。それは2018年に着任した日野田直彦校長(42)の影響によるものだという。日野田校長は前任の大阪府立箕面高校で、地域の4番手の高校ながら着任して3年後には海外の30大学へ累計36人の合格者を出した公募等校長(いわゆる民間人校長)として、その手腕が知られていた。それほどの校長が、なぜ同校に着任したのだろう。そして目指す学校の姿とは。

■マインドセットを大切にしている

日野田校長着任以前の同校は、経営的にかなり厳しい状況が続き、赤字が積み重なっていた。インタビューに訪れた日、日野田校長は学校説明会で使っている資料を見せながら言う。

「日本を先進国だと思っている人が多いのですが、私を含め就職氷河期を経験した同世代の保護者の方であれば、日本はバブル崩壊後、社会システムが焼け野原同然の国になった、というのがわかるのではないでしょうか。

何の保障もない未来に、みなさんのお子さんは放り出されるわけです。一方で、失うものはないからある意味、何をやってもOKともいえます。だからこそ本校はマインドセット(物事に取り組む基本姿勢や心構え)を大事にし、挑戦と失敗を応援する学校だと保護者の方には言っています」。

日野田校長は幼少期をタイで過ごした帰国子女だったため、日本語は「古典落語などで覚えた」という。帰国後は公立中学校に通ったがなじめず、母の勧めもあって帰国子女の受け入れをしていた同志社国際中学校(京都府京田辺市)へ転入。全校生徒のうち3分の2が、世界中からの帰国子女というインターナショナルな環境で、日本の一般的な教育とは一線を画す独特な教育を受け、同高校卒業後は同志社大学へ進学した。

偶然にも、筆者も同志社国際高校の出身。筆者の場合は高校からの一般生(国内中学校出身)で、帰国生の奔放さとパワーに圧倒されっぱなしだったが、同校では自分とは何か、自分には何ができるのかを強烈に植え付けられた日々だった。

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