東京の若者に「風呂なし物件」がじわり人気の訳 「高い家賃で新築物件」ではない"価値観"

東洋経済オンライン / 2020年3月26日 9時45分

「問い合わせてくる人の多くは、20~30代。手頃な家賃で都心に住める点が魅力的なようです」と、同サイト企画部長の鹿島奈津子さんは話す。

風呂がないと、家賃は相場の2万~3万円安くなるという。時には「広尾で6畳の角部屋、トイレは共同だが洋式で家賃2万9000円」というお宝物件と出会えることも。

ちなみに銭湯に1カ月間通うとなると、東京都の場合、回数券(10枚)なら4400円×3枚=1万3200円かかる。しかし、風呂なし物件の家賃にこの分を上乗せしても、たいていは相場の家賃より安く済む。しかもガス代や水道代も節約できる。なおかつ毎日大きな湯舟に入れるうえ、風呂掃除の必要もない。

風呂をシェアすることで複数のメリットを享受できる――。よく考えると今の時代にマッチした合理的なライフスタイルなのかもしれない。ミニマリストの客も少なくないようだ。例えば、「冷蔵庫すら持たないというミニマリストの男性もいらっしゃいました」と、鹿島さん。彼は中目黒駅から徒歩4分、家賃3万5000円の風呂なし物件を選び、職住近接の暮らしをかなえたという。

風呂なし物件は、最近増えている“多拠点生活者”にも好まれている。コンテンツ制作会社所属の小池日向さん(27歳)は、昨年秋に太田区の梅屋敷駅から徒歩5分弱の場所にある部屋を借り始めた。長野県の会社店舗と神奈川県の実家だけでは全国出張に対応しにくいため、3つ目の拠点として羽田空港に近いこの物件を選んだ。 

「あまり家にいないので家賃は抑えたかったし、風呂のない生活も面白そうだと思った」と、小池さん。4畳半の居室+キッチン+収納で構成された2階の角部屋は、家賃2万9000円。築50年と古いが、「味があって新築より落ち着く。日当たりや風通しも抜群」と満足そうだ。

現在、近所の銭湯とスポーツジムのシャワーを風呂代わりにしている。体を鍛え、湯舟に浸かる生活を始めたからか、肌がつやつやになったという。「最近、僕が楽しそうに暮らしているからか、後輩が同じアパートに越してきたんですよ」と、小池さんは話す。

意外な副次的効果も。「銭湯に行くためには1時間ほど時間を作る必要があります。そのため、仕事をいったん切り上げるなど生活にメリハリがついたという声も。新たなコミュニケーションを楽しむ人もいます」(鹿島さん)。

杉並区の高円寺駅から徒歩3分の場所にある風呂なし物件に住む30代前半の女性Aさんは、自分が通う銭湯でアルバイトを始め、イベント企画等にも携わるうちにすっかり町になじんだそうだ。

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