東京の若者に「風呂なし物件」がじわり人気の訳 「高い家賃で新築物件」ではない"価値観"

東洋経済オンライン / 2020年3月26日 9時45分

前述の中澤さんも、銭湯の番頭さんと仲良しになり、時々飲みに行くのが楽しいと言っていた。客同士も裸の付き合いだからか、自然と言葉が交わされる。銭湯に通うことで、地元とのつながりが生まれるきっかけにもなるようだ。

ちなみに、都会生活と銭湯が楽しめる、風呂なし物件の多いエリアはどこなのだろう。鹿島さんに聞くと、「大田区蒲田や京王線の初台駅・幡ヶ谷駅・明大前駅、東横線の都立大学駅・学芸大学駅などがオススメ」と教えてくれた。

■減りゆく「銭湯」と「風呂なし物件」を救え!

最近では渋谷区の「改良湯」や荒川区の「梅の湯」などリニューアルする銭湯やイベントが充実した銭湯も増えており、巷ではちょっとした銭湯ブームが起きている。

とはいえ、個人宅に風呂が付き始めた1950年代以降、銭湯は減り続けているのが現状だ。総務省の「平成20年住宅・土地統計調査」によれば、関東大都市圏の浴室保有率は約94%。つまり風呂なし物件も6%しかなく、年々減っているという。

こうした中、減りゆく銭湯と風呂なし物件を救おうと、銭湯業界の活性化に取り組む「東京銭湯」と、リノベーションや賃貸仲介業を展開する「フィールドガレージ」が協力し、2018年7月に誕生したのが「東京銭湯ふ動産」だ。同サイトを通じて成約した物件の仲介手数料が売り上げとなる。

きっかけは、フィールドガレージに勤める鹿島さんが、風呂なし物件と銭湯の見学ツアーを企画したことにある。不動産業を生かして大好きな銭湯に何か貢献できないかと考えた末、「風呂がなければ、皆銭湯に行くのでは」とひらめいた企画だ。

蒲田や自由が丘、高田馬場、中目黒などで9回ほど開催したところ大好評で、ニーズが見えてきたという。一方、風呂なし物件は大手ポータルサイトで探しにくく、不動産屋でもあまり紹介してもらえないといった現実もあった。家賃の低い風呂なし物件は手数料を多くとれないため、不動産屋が敬遠するからだ。「ならば専用サイトを作ろう」という話になった。

サイト開始から1年半で問い合わせ数は、80件。数としては多くないが、成約率は2割に達している。「3割あればかなりの好成績とされる中、風呂なし物件としてはいい数字では。オーナー様からの問い合わせも増えつつあります」と鹿島さんは説明する。

一般的に風呂なし物件は不動産屋からは「生活保護者や高齢者など賃貸物件を借りられない人のための物件」として扱われることが多く、「若い人が入ってくれて嬉しい」と喜ぶオーナーも。

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