「新型コロナで円暴落」が信じられない理由 円は暴落も急騰もない「レンジ相場」が続く

東洋経済オンライン / 2020年3月28日 7時20分

ドル円相場は株価の大荒れでも意外に安定している。なぜなのか(写真:Tr1 / PIXTA)

新型コロナによる経済ショックは大きく、さまざまな不安が起きているが、ドル円相場はさほど大きく動いていない。アジアで感染が拡大した2月後半には1ドル112円を超える円安に動き、欧州で感染が急拡大してWHO(世界保健機構)によるパンデミック宣言の観測が高まった3月9日(実際の宣言は11日)には、1ドル102円台前半をつけたが、その後は乱高下しながらも、経済政策などを好感し111円台後半まで戻り、足元では108円台となっている。

リーマンショック以来「リスクオンの円安、リスクオフの円高」という言葉が定着したため、「円が大幅に上昇していない」ことを不思議に感じたり、日米の金利差が縮小しているのだからもっと円高が進むはずだという疑問も生じる。

一方、当初、円安に振れたため「日本売り・円売りが起きているのではないか」と不安を感じた向きもあったようだ。はては、過去の恐慌を引き合いに「新型コロナで円暴落・ハイパーインフレ」を喧伝する向きもあるが、そうした見方はまったくデータを踏まえていないもので、冷静に構造を見ておきたい。

■2008年よりもキャリートレードが減ってきた

実際のドル円のグラフを見てみよう。2018年ごろからドル円の動きは小さくなったことが見て取れる。その理由として為替のプロはいくつかの指摘を行っている。

主な論点として、第1にキャリートレードがリーマンショックの前後に比べて小さくなったこと、第2に日本からの対外証券投資よりも対外直接投資が大きくなってきていることがある。

第1のキャリートレードについてみよう。キャリートレードは相対的に金利の低い通貨で資金を借り入れ、その資金を金利の高い通貨で運用する取引だ。リーマンショックの前からしばらくの間は日本の金利だけが極端に低かったため、円を借りて米国債や高金利の新興国への投資を行う円キャリートレードを世界の機関投資家が行った。ちなみに、2007年の10年国債利回りはアメリカもドイツも4%台であり、日本だけが1%台後半だった。この頃にはスペインなど欧州で円建ての住宅ローンが出されるほどだった。

景気が良いときは円キャリートレードが活発に行われて円売りが増えるので円安になり、景気が悪くなると円を買い戻すため円高になるという動きが続いた。例えばリーマンショック(2008年9月)でドル円は1ドル90円を割り込み、続いて欧州債務危機が起きると70円台にまで円高が進んだ。一方、先進国の金融緩和のもとで世界的な景気回復が続いた2015年には、ドル円は1ドル120円を突破する円安となった。

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