異例の廃止「妊婦加算」とは結局何だったのか 2018年4月に導入も、今年4月以降の廃止決定

東洋経済オンライン / 2020年3月30日 7時40分

4月以降の廃止が決まった「妊婦加算」。廃止に至るまでの経緯をみていきます(写真:pearlinheart/PIXTA)

2018年4月に導入された「妊婦加算」は、少子化対策に逆行するなどの反発をきっかけに、2019年1月から凍結されていましたが、2020年2月に、4月以降の廃止が決まりました。ここでは、妊婦加算が廃止に至った経緯をみていきたいと思います。

■そもそもなぜ導入されたのか?

まず、簡単に「妊婦加算」を振り返ってみましょう。

妊婦加算とは、胎児に配慮した適切な診療など、周産期医療の充実のために、2018年4月から導入された診療報酬の項目です。

妊婦の外来受診においては、胎児への影響に注意して薬を選択したり、妊婦にとって頻度の高い合併症や診断が困難な疾患を念頭においた診療が必要とされます。

通常よりも慎重な対応や胎児への配慮が必要であることから、妊婦を診察することに消極的な医療機関があると言われています。

産科医は、ほかの診療科に比べて労働時間が長くなる傾向があり、医師の数もあまり増加していません(厚生労働省「妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会」議論のまとめ(2019年6月)より)。

さらに、産科医でなくても治療が可能な病気の妊婦までが紹介され、過大な負担がかかっていることが問題となっているため、診療報酬で評価することによって、産科以外の妊婦の診療に積極的に取り組む医療機関を増やそうとしたのです(詳細:2018年11月配信のこちらの記事『妊婦が診察料を「高く」払わされる根本理由』)。

ところが、妊婦加算導入後、本来の目的とは遠い形での加算があったことがSNS上で話題となり、批判が出ました。

例えば、「会計時に妊婦であることがわかって、負担が上乗せされた」「妊婦であることがわかったら、過去にさかのぼって徴収された」といった声があったほか、コンタクトレンズを作るために眼科で検査するなど、妊娠とは関係がないと思われる診療でも加算されるなどの事例があったようです。

すべての診療科で加算されるため、加算について事前の説明もなく、医者からも妊娠に関連する病気について特別なコメントがなかった事例も多いと思われます。患者がケアを受けたことを実感できなかったため、この加算は患者にとってわかりにくいものとなりました。

一方、薬の飲み方は、授乳期も注意が必要ですが、授乳期には加算がないほか、妊娠中に薬局で薬を処方してもらっても加算がありません。また、注意が必要なのは同じなのに、お腹が目立つようになるまで、あるいは自分で妊娠中であることを言わない限り、妊婦に対する特別なケアも受けられませんが、加算もされません。これもわかりにくい理由の1つとなっていました。

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