投げ売りされた「金」は安全資産に戻れるのか はたして株価の先行指標として有効なのか

東洋経済オンライン / 2020年4月2日 12時0分

世界的なパニック相場の中、金は安全資産としての機能を果たすことができるのか(セーラム/PIXTA)

新型コロナウイルスの感染拡大が世界経済に大打撃を与えている。当初、アジア地域に限定されていたかにみえたこの問題は欧州へ拡大すると、瞬く間にアメリカへも被害が及んだ。アメリカではカリフォルニア州、ニューヨーク州、イリノイ州(全米第3の都市であるシカゴを含む)などで外出禁止令が発動され、異常事態に直面している。

このように実体経済が大混乱に陥っている以上、金融市場が大混乱になるのは自明である。一時、NYダウは2万ドルをあっさりと割込み、ドナルド・トランプ大統領就任以降の上昇を吐き出した。日経平均株価も一時1万6000円近傍まで下落するなど、リーマンショックに匹敵する世界的パニック相場となった。今回は、仮に新型コロナウイルス問題が沈静化に向かい、金融市場が落ち着いてくるとしたら、どこにその兆候が現れるか考えてみたい。

■セントルイス連銀総裁の「GDP50%減少発言」の衝撃

3月22日にセントルイス連銀のジェームズ・ブラード総裁は、4~6月期のGDPが50%減少し、失業率が30%に及ぶと言及した。この報道は電話インタビューをまとめたものである。したがって、実際の発言は「景気対策がなければ」という前提が置かれた文脈だったのではないかと推察するが、もしこれが現実のものになれば、恐るべきマイナス成長だ。つまりGDPが半減するという見通しであるから、まさに桁違いである。

こうした急激な経済活動の落ち込みに対処すべく連邦準備制度理事会(FRB)は3月15日にゼロ金利政策を導入したほか、7000億ドルに及ぶ国債とMBS(不動産担保証券)の購入再開を決定した(≒量的緩和)。

資産購入については当初設定した7000億ドルの購入枠をわずか数日で使い尽くす事態となったため、導入後間もない3月23日にはその規模を「無限」に切り替えたうえ、買い入れ対象資産にCMBS(商業不動産担保証券)を追加し、さらに社債購入プログラムを新設した。同時にアメリカ政府は2兆ドル、GDP比約10%に相当する桁違いの大規模経済対策を打ち出した。ここには個人への現金給付、納税延期措置、企業向け資金繰り支援などが含まれる。政策総動員とはこのことである。

そうした前例のない大規模景気対策をもってしても、金融市場の混乱を収められるかは微妙だ。新型コロナウイルスをめぐる実体経済への影響は、瞬間風速でいえば、間違いなくリーマンショック以上だ。その破壊力は3月24日に発表された各国のPMIに表面化した。3月12~23日にかけて調査票が集計されたサービス業PMIは日本、アメリカ、ユーロ圏のいずれもが垂直的落下を示し、リーマンショック時のボトムを突き破った。このPMIが示唆するGDP成長率は2桁のマイナス成長である。

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