密輸コウモリも取引「ペット輸入大国」日本の闇 野生生物が街中に入ると新興感染症招く恐れも

東洋経済オンライン / 2020年6月12日 17時40分

水際で阻止されたコウモリの密輸入。だれがどんな目的で企てたのかについて、TRAFFICは、「ペットとしての販売が目的であったことは間違いない。今回摘発されたケースでは、(ペットとして人気の)ワタボウシタマリンなどと一緒に持ち込まれようとしていた」(北出智美・ジャパンオフィス代表)と話した。熱帯地方を生息地とするオオコウモリが日本国内でペットとして売られていることも確認済みという。

報告書によると、2007年以降の密輸事件で少なくとも18人が起訴され、14人が有罪判決を受けた。しかし、実刑判決を受けたのは3人だけで、最大で懲役1年10カ月、罰金80万円だった。TRAFFICは水際で摘発できたのは「氷山の一角」とみている。

報告書を踏まえ、WWFジャパンは、日本政府に対し、「ワシントン条約を順守するための国内法について、罰則などを見直して抑止力を高めると同時に、水際をすり抜けて国内に入った後の国内取引の規制を強めるための方策を検討してほしい」と提言している。

■「ペット輸入大国」として名をはせる日本

日本は、「ペット輸入大国」として名をはせている。ユーチューブには、日本原産ではないさまざまな動物と暮らす動画がたくさんアップされている。「~する様子がかわいい」というタイトルが付けられ、飼い主になついている様子は確かに、ほほえましい。

しかし、新型ウイルス感染拡大の原因を考え直す中で、生態学者や外来生物の研究者はその危険性を指摘している。国立環境研究所生態リスク評価・対策研究室室長、五箇公一博士は、国立環境研究所が公開したYouTubeで配信中の動画「新型コロナウイルス発生の裏にある“自然からの警告”」の中で、外来生物の問題について語っている。

外来生物は、英語で「エイリアンスペシーズ」と呼ばれ、人間により生息地から移動させられた生物を指す。1970年代、日本ではアライグマを主人公にしたアニメが大人気になり、その影響でペットとして飼う人が増えた。自然環境研究センター編著の『日本の外来生物』によると、飼っていたアライグマが逃げ出したり捨てられたりした結果、現在はすべての都道府県で見られるという。2018年には東京の赤坂や秋葉原で目撃されたとの報道もあった。

五箇博士が指摘するのは、アライグマが運ぶマダニが媒介するSFTSという新興感染症ウイルスの危険性だ。このウイルスはマダニの体内に生息し、人間に重症熱性血小板減少症候群という病気をもたらす。厚生労働省によると、2011年に中国で新しい感染症として報告され、2013年には国内で初めて感染が確認され、以降、毎年60~90人の患者が報告されている。

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