ジブリが「調べるよりも記憶」を大切にする理由 鈴木敏夫×石井朋彦が語る「ジブリの仕事術」

東洋経済オンライン / 2020年6月14日 10時0分

スタジオジブリの石井朋彦さん(左)とジブリ作品のすべてをプロデュースしてきた鈴木敏夫さん(右)に、お話をたっぷりうかがいました

2019年12月、ファンタジー小説『思い出の修理工場』を上梓した、スタジオジブリ石井朋彦さん。そして、石井さんの師匠であり、『風の谷のナウシカ』から『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』など、ジブリ作品のすべてをプロデュースしてきた、スタジオジブリ鈴木敏夫さん。20年以上の師弟関係であるお2人から、ジブリの仕事術、宮崎駿さんの創作術やファンタジーのこれからなどをたっぷりうかがった。

■鈴木敏夫流仕事術「必要なのは記憶力と整理整頓」

鈴木:石井との出会いは、20歳のころだったよね。『千と千尋の神隠し』が始まる前、石井は入社早々、制作部になじめなくてクビ寸前で、僕の下につくことになった。僕のやりかたは、「やらせる」ではなく、仕事を一緒にやる、ということ。

僕も若かったし、それまで自分1人でやっていたことを、石井と2人で考えることから始めた。まず最初に、僕の部屋の資料の整理をやってもらったんだったよね。

石井:クビ寸前だった僕がジブリで鈴木さんにたたき込んでいただいたことは、仕事で大事なのは「記憶力と整理整頓」だ、ということでした。眼の前のことを正確に記憶して整理整頓することが、仕事の8割なんだ──と。

『思い出の修理工場』は、人々の傷ついた思い出を修理し、美しい思い出に変える工場が舞台なのですが、鈴木さんがモデルの「ズッキ」というキャラクターが、主人公の少女「ピピ」に、壊れたオルゴールの部品を数え、分類して整理する練習をさせるんです。ピピが修理工場で学んだことは、僕が鈴木さんにジブリで教えていただいたことそのものです。

仕事の八割は、整理せいとんだよ。

人間は、色んなことを考える。考えることは悪いことではない。そういう風にできている。だが、大事なのはそれをどう整理するかなんだ。

よい方法を教えよう。まず、目の前にある問題や課題を、ひとつひとつ、書きだしてみる。そのあいだは、考える必要はない。よけいな事を考えずに、ただ書く。一度、目の前の課題を、すべて紙の上に書きだしてしまう。

次にそれらをながめて、整理する。コツは、同じようなもの同士をまとめること。

たとえば、百の課題があるとしよう。目の前に百の課題があると思うと、人は混乱する。

考えが止まってしまう。でも、注意深く見てゆくと、その中に同じような問題がふくまれているということがわかってくる。

それらを分類する。多くの場合、百の問題は、十くらいの問題になっている。多ければさらに整理してもいい。これが、整理せいとんだ。

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