コロナショック後のアメリカに訪れる暗い結末 80年周期の中での「4度目の転換期」が持つ意味

東洋経済オンライン / 2020年6月16日 7時55分

「息ができない」は警察への抗議であるとともに、格差が広がる一方のアメリカで割を食う「若い世代」の叫びでもある。(写真:ロイター/アフロ)

「コロナウイルスがアメリカの分断を加速したのではない。コロナウイルスは、すでに国家としてぶっ壊れていたアメリカを世界に晒したに過ぎない( アトランティック6月号)」。

まさしくその通りだが、コロナから始まったアメリカの喧騒が収まらない。白人警察官の行為に対する平和的なデモは、商店の略奪が加わり暴徒化。今は「ANTIFA」(アンティファ)と呼ばれる、暴力さえいとわない組織の扇動が見え隠れする。

■格差への怒りが爆発した

ANTIFAはアドルフ・ヒトラー、フランシスコ・フランコなどへのアンチファシズムを源流とするグローバルな組織。厄介なのはリベラルでも保守でもなく、反政府主義、無政府主義を標榜していることだ。折も折、今はコロナウイルスを拡散させた責任や、香港の統治問題で米中の両国は対立を深めている。ANTIFAの動きは、米中対立にも油を注ぐことになるだろう。

ANTIFAに対するさまざまな陰謀説の真贋はさておき、確実なのは、デモに参加している若者などが掲げる「息ができない」のサインは、殺されたジョージ・フロイド氏の最後の叫びである。

と同時に、若者にとって自分達の叫びでもあるということだ。その証拠に、今回の暴動が1992年のLAでのロドニー・キング事件や1960年代のNYとも違うのは、暴動が起きた場所が、シカゴのマグニフィセントマイルやLAのロデオドライブなど、白人の富裕層があつまる街の中心地であることだ。これは格差への怒りである。

ミレニアルと言われる世代(2000年代初頭に成人になった人々)は、戦後の経済成長のほとんどを前の世代に持っていかれてしまった。それどころか、その前の世代は今や年金受給世代になり、ミレニアルは、自分達は将来の負担と低賃金に耐える格差社会に取り残されたという思いがある。

実際、それは事実である。6月5日のワシントンポスト記事によれば、アメリカの1人当たりGDPは、ドナルド・トランプ大統領の世代であるベビーブーマー世代が18歳から33歳になるころは平均33%伸びた。だが、今の若者(ミレニアル)には、その半分の成長しか与えることができていない。

ではその責任は誰にあるのか。メディアは、黒人への差別、人権運動をきっかけに、若者が持つ不満の責任は、すべてトランプ大統領の政策と、大統領自身の「ポリティカルコレクトネス」(偏見や差別を含まない中立的な態度や表現など)の欠如にあるというプロパガンダを続けている。ただ筆者の感覚では、それは正解とはいえない。この30年、全体として豊かさをもたらしたグローバリゼーションは格差社会も作った。

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