河井前法相夫妻、「逮捕でガス抜き」の皮算用 野党の追及は尻すぼみ、焦点は解散と人事へ

東洋経済オンライン / 2020年6月19日 8時0分

しかし、河野氏は「年明けから問題があることがわかっていた」と強調。配備先となる山口県と秋田県は、それぞれ安倍首相と菅官房長長官の地元だけに、「河野氏がデータを突きつけて、首相や官房長官を説得した」(政府筋)との見方も出ている。計画は2017年末の日米首脳会談での合意を受けたもので、防衛省の現場は「突然、天から降ってきた配備計画」(有力OB)と戸惑いもあったとされる。

トランプ大統領のごり押しを安倍首相が受け入れたとされるだけに、巨額の予算措置の停止・見直しを評価する向きもある。「政権にとって、今まで嘘を言ってきたというダメージより、潔く誤りを認めたことへの評価が上回る」(首相経験者)との見方も少なくない。

河井夫妻の逮捕と前後して、公選法違反疑惑で経済産業相を辞任した菅原一秀衆院議員は16日に緊急会見を開き、自らの行為が公選法に抵触する可能性があることを認めた。菅原氏は2019年10月、自身の公設秘書が地元後援者の葬儀に香典を持参した疑いをもたれ、閣僚辞任に追い込まれた。

菅原氏は会見で、一連の行為が公選法に触れると認識していたとした上で「深く反省しています」と謝罪。ただ、離党や議員辞職は否定し、「今後は一兵卒として精進していきます」と説明した。菅原氏の疑惑については、都内の男性が東京地検特捜部に告発状を提出、現在も捜査が進められている。

■「逃げ恥作戦」の集大成か

安倍首相は18日夕、国会閉幕を受けて記者会見した。まず冒頭発言の最初に河井夫妻の逮捕に触れ、「大変遺憾で、かつて法相に任命した者として責任を痛感している。国民にお詫びしたい」と神妙な表情で陳謝した。

ただ、都知事選告示と河井夫妻逮捕にメディアが忙殺され、首相会見への注目度は薄れた。河井夫妻逮捕だけでなく、持続化給付金をめぐる不透明な受注や業務委託など、首相に対する追及材料は山ほどあったが、安倍首相は用意した原稿を読み上げるスタイルを変えず、記者団との質疑も突っ込んだやりとりとはならなかった。

河井夫妻逮捕も含め、国会閉幕に合わせたような動きは、「首相得意の逃げ恥作戦の集大成」との見方も出る。「アベノマスクの配布もほぼ完了し、国会を閉じてコロナ対策の実行に専念していれば、内閣支持率低下も底を打つ」(自民幹部)との読みからだ。

安倍首相は、コロナ対応で自粛してきた夜の会合も19日から再開する構えだ。しかも、最初のメンバーは麻生太郎副総理兼財務相と甘利明自民党税調会長、菅氏とされる。第2次政権発足時に4氏の頭文字から「3A1S」と呼ばれた4人組の復活ともみえる。「原点回帰」(首相側近)することで、人事や解散時期など今後の政局運営について話し合うとみられている。

ただ、今後の政局運営は「コロナ収束や五輪中止回避ができなければ、解散もできずに野垂れ死にとなる可能性」(自民長老)は否定できない。このため、与党内には「閉店セールで不良品を整理するようなやり口は、いつまでも通用しない」(同)との厳しい声も広がっている。

泉 宏:政治ジャーナリスト

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