2020年年金改革は野党炎上商法の潮目になるか コロナ下での与野党協議が示した年金の未来

東洋経済オンライン / 2020年6月20日 7時10分

だがようやく、民主党、民進党、そして国民民主党・立憲民主党と渡り歩いた彼らも、年金を政争の具とすることに不利を感じてきたのであろう。

共産党を除く与野党で賛成された年金法案が成立した今、改めて、2004年年金改革時の年金騒動からこの16年間を、忘れっぽい民主主義が完全に忘れてしまう前に、ひとつの歴史の記録として整理してみよう。

■年金破綻論に味を占めた旧民主党

元首相の鳩山由紀夫氏が「年金がこのままではボロボロになって、年を取ってももらえなくなるという語りかけは、非常に政権交代に貢献してくれた」と新聞に答えていたように、2009年の民主党政権獲得のころが年金騒動のピークだろう。

始まりは、2004年4月の枝野幸男氏の発言「(現行制度は)間違いなく破綻して、5年以内にまた替えなければならない」辺りであり、彼はその後も同様の発言を繰り返しながら、年金不安を煽りに煽っていく主役を演じていく(海老原嗣生『年金不信の正体』)。

2005年4月には岡田克也氏も「国民年金制度は壊れている」と公言していたのだが、彼を含め、2009年に政権を獲得した後は発言が変わる。岡田氏は、この発言から7年ほど経った2012年5月には、当時の社会保障・税一体改革担当相として国会で「年金制度破綻というのは私もそれに近いことをかつて申し上げたことがあり、それは大変申し訳ない」と詫びるに至る。

政権交代から2カ月ほど後には厚生労働相になっていた長妻昭氏は、テレビで「年金は破綻しません。国が続く限り必ず支える」と言っていたし、数年後の2012年4月には民主党の野田佳彦総理は、「現行制度が破綻している,あるいは将来破綻するということはない」と国会で答弁していた。

おもしろいことに、民主党と彼らの年金論にお墨付きを与えていた「有識者」たちは、民主党案の財政試算を一度も行うことなく抜本改革を唱え続けていたようなのである。社会保障・税一体改革が動き始めた2011年春に、非公開の場で年金局に依頼して彼らの案の財政試算をやってもらっている。ところが、その試算結果があまりにも厳しい現実を突きつけてしまったために、民主党の要人たちは年金試算を封印するという姑息なこともやっていた。

しかしそのことが2011年5月には報道を通じてリークされ、与野党の間で二転、三転の茶番のあげくに、試算は公表され、当時の野党自民党の格好の攻撃材料となっていた。

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