2020年年金改革は野党炎上商法の潮目になるか コロナ下での与野党協議が示した年金の未来

東洋経済オンライン / 2020年6月20日 7時10分

こうして、年金破綻論、のみならず政権交代がなされれば、自党の改革案によって翌日からでも7万円の最低保障年金が配られるかのようなキャンペーンで政権を得た民主党は、政策の柱とした年金でも行き詰まる。

■3党合意の一体改革で落ち着くと見られたが…

その後、民主党政権下での2012年6月の民主・自民・公明の3党合意で公的年金は「社会保険方式を基本とする」ことが合意され、翌2013年8月には、社会保障制度改革国民会議が、2004年制度改革のフレームの下で次の4つの課題を設定し、社会経済の変化に応じて将来世代のための給付、特に基礎年金のさらなる充実を図っていくという道筋が確認されていった。

●マクロ経済スライドの仕組みの見直し
●被用者保険のさらなる適用拡大
●保険料拠出期間と受給開始年齢の選択制
●高所得者の年金給付の見直し

これらが実行されるように、2013年12月には、その後の政策方針を計画するプログラム法も作られた。とはいえ、旧民主党の中で年金叩きを職業にしてきた人たちの言動はその後も選挙のたびに再燃していた。

2016年参院選前の年金改革時には、現在の受給者の給付額から、彼らの孫、ひ孫世代の年金へと仕送りを強化するための改革を、当時民進党国会対策委員長であった山井和則氏は「年金カット法案」と呼んで、彼らよりもはるかに年金を理解している記者たちから一斉に批判されるという失態を演じていた(『ちょっと気になる社会保障 V3』254~257ページ、「民進党の『年金カット法案批判』は見当違いだ」2016年10月27日参照)。

そしてこのときも、長妻氏は「今すぐ“抜本改革”に取り組む必要がある」と話しており、記者からは「完全にかつての民主党に先祖返りしつつある」と誌面で批判されていた。

2019年参院選前には、旧民主党議員たちは金融庁審議会の報告書に端を発した「老後2000万円不足」問題でキャンペーンを張ってはみたが、すでに公的年金保険とはどういうものかを理解していた一般の人たちからも一斉に、「2009年に抜本改革を掲げて政権を獲得した後、年金に対して何もできなかった体たらくへの批判がなされてしまった」(「金融庁の報告書が実はとんでもない軽挙なワケ」2019年6月30日参照)。

■もはや揚げ足もとれず、支持基盤からの反発も

そして、彼らの老後2000万円キャンペーンのとき、相も変わらずワイドショーや週刊誌などが年金不安を煽る様子を観ながら、まだわからない人たちが世の中にいることを実感した厚生労働省の年金局は、8月に「2019年財政検証」を発表したのであるが、その報告書は世論の噴出を抑えるべく周到な準備がなされたものであった。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング