自由診療にすがり急逝した乳がん患者の末路 有効性なき免疫療法の何とも許されざる実態

東洋経済オンライン / 2020年6月24日 10時10分

フェイクだらけの情報があふれていることに気をつけろ(写真:Tharakorn/iStock)

有効な治療法が見つかっていない、新型コロナウイルス感染症。患者の約2割が重症肺炎になり、そのうちの3割が致死的な急性呼吸促迫症候群(ARDS)となる。要因として考えられているのが、「サイトカインストーム」。免疫システムの暴走によって、過剰な炎症が起きた状態を指す。

アメリカで臨床試験が進められている新型コロナのワクチンも、免疫システムの解明が最重要テーマだ。

そして、がん医療の分野でも、カギを握るのは免疫である。2018年にノーベル賞を受賞した、本庶佑氏(京都大学特別教授)は、免疫システムに焦点をあてた研究が、画期的ながん治療薬「オプジーボ」に結実した。

ただし、日本では有効性が確認されていない、自由診療の「免疫療法」が横行している。適切な治療を受ける機会を逃して、命を落とした患者もいた。その罠(わな)にかからないため、患者として知っておきたい事柄をお伝えしよう。

■温熱と断食を組み合わせた独自の治療法  

インターネットには、有効性が何も確認されていない「独自のがん治療法」が氾濫している。その大半が「免疫療法」。情報の発信元をたどってみると、大半が高額な自由診療クリニックだ。

2年前、都内在住の70代女性は、がん診療拠点病院で「早期の乳がん」と診断された。このとき担当した乳腺外科医は、「手術を受ければ、5年生存率は97%」と告げ、再発予防の抗がん剤も勧めている。

診断を聞いて、夫は安堵したが、女性は手術を受けなかった。

彼女が選んだのは、「ガン免疫強化療法」などをうたう、自由診療クリニック(ちなみに筆者の取材経験でいうと、真っ当ながん専門病院で、「ガン」とカタカナ表記するところは皆無に等しい)。

「どうしても乳房を残したいのなら、(外科手術とは)別の方法があります。3カ月もすれば、がんは消えます。消えない人でも6カ月やれば消えます」

クリニックの院長が示した「別の方法」とは、ハイパーサーミア(温熱療法)とファスティング(断食療法)を組み合わせた、独自のがん治療だった。

手術を受けずに「がんが消える」という言葉を信じた女性は、クリニックに入院して治療を始めた。すると、院長は「合計600万円の費用が必要」と伝えたという。

外科手術を受けるべきだと、夫は何度も説得を試みたが、女性は聞く耳を持たない。そこで夫は、医療取材の経験がある私に相談を持ちかけてきた。私は拙著『やってはいけない がん治療 医者は絶対書けないがん医療の真実』を上梓するなど、医師には絶対書けないがん医療のタブーや、詐欺的ながん医療を目利きするヒントなどを追っている。

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