父の虐待で「勉強嫌い」に陥った53歳女性の半生 「おまえのせいで、お父さん、しんどくなった」

東洋経済オンライン / 2020年7月4日 7時40分

田中瑠美(仮名・53歳)さんが父親から受けた「精神的な暴力」とは?(写真:筆者)

日常的に殴る、蹴るといった肉体的な暴力があると、明らかに虐待だとわかるが、「毒親」の場合、本人も周りの人間も、親の精神的な暴力に気づかないことが多い。

田中瑠美(仮名・53歳)さんもそんな一人だ。

「スーザン・フォワードの著書『毒になる親』のチェック事項を試してみたら、父親に関しては明らかに毒親だという判定が出ました。母親も、そんな父を擁護していたという意味では、その要素があるかもしれません。今は仲いいですけど。40を超えるまで、親子関係にそれほど問題があると思っていなかったんです。父親の言動に傷ついたりしても、この程度ならよくあることかと思っていました」

■パワハラをきっかけに「父親が豹変」

瑠美さんが物心ついた頃、一家は母方の祖父母、両親、瑠美さんの5人家族だった。瑠美さんにとって父親の影は薄く、メガネをかけた男の人が2階に住んでいて、その人が父親らしいというような認識だったという。

ところが、祖父母が亡くなり、小学校3年で両親との3人家族になってからは、父親が家族の中心に座り、いきなり大きな位置を占めるようになった。

「父自身、親の愛情をあまり知らず、子どもの可愛がり方がわからなかったのだと思います。祖父(父親の父親)こそまさに毒親で、理不尽なかんしゃくは当たり前だったそうです。父は、中学1年の中間試験か何かで、学年で1番になり、それ以降、学業がすべてとなり、一流と言われる大学を卒業して、望む職に就きました」

しかし、父親は職場でパワハラを受け、心身の不調に見舞われるようになる。3人家族になったのは、そんな頃だった。

「当時、私が騒ぐとうるさいといわれ、機嫌が悪いと、すぐに切れて怒鳴ることもありました。叱るというより八つ当たりです。機嫌がいいときには、私の学校の宿題にあれこれ口を出し、図工の工作を作っているときには、『もっといいものが作れる』といって勝手に作り直し、それを学校に持っていかせたこともありました。すると、母が先生から呼び出され、『親が作ったらダメです』と注意されるわけです。母はそれをそのまま伝えて私を叱り、父に小言は言わず、父の味方をする。ダブルバインド(二重拘束)ですよね」

「また、わが家のチャンネル権は父が握っていて、唯一、アニメのオバQだけは見せてくれた。それなのにその日は、自分が好きな番組をつけ、『こういうのも勉強になるだろう』と恩着せがましく言うので、つい『自分が見たいんでしょう』的なことを口走ったんです。すると、いきなりカレーライスのお皿が飛んできて、命中はしなかったけれど、目の上に当たりました。

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