香港市民を救え!開き始めた台湾の保護傘計画 人権派弁護士や牧師が活動家の自活を支援

東洋経済オンライン / 2020年7月5日 7時50分

香港のデモ参加者を救おうと、台湾で「保護傘香港」という会社が設立された(写真:今周刊)

台湾の移民署の発表によると、2019年の香港から台湾への居留ビザ(長期滞在)取得者は5858人。2018年と比べて41.1%増と急増している。

要因のひとつは不安定な香港情勢だ。台湾政府は「政治的な理由」から移住を希望する香港人のための専門窓口の開設を決定。さらに多くの香港人の移住が見込まれる。

移住者のなかには民主化デモに参加した若者もいるが、彼らは決して台湾に安住の地を求めてやって来たのではない。彼らは香港を諦めてはいない。避難先の台湾で香港人は自活と抵抗のための拠点を作り上げているのだ。

■忘れられない硝煙のにおい

香港から逃げて来たイヴァンさん(21、仮名)は、2019年に恐怖と混乱の中、台湾に逃れてきた香港人青年だ。彼は夜になると決まって同じ夢を見る。「私が島に閉じ込められている夢だ。夢のなかで、対岸にいる仲間が助けを求めているのに、仲間を助けることはおろか声も届かない」。

まだ少年のような幼さが残るイヴァンさんだが、その表情は厳しく、精神状態が落ち着いていないことがうかがい知れる。彼は香港から台湾に移り住むまでの出来事を話し始めた。

2019年、中国本土への容疑者の引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案の撤回などを求める香港民主化デモに、イヴァンさんも参加していた。イヴァンさんはデモのなかで浴びた硝煙のにおいが今でも忘れられないという。

6月12日と7月1日に、彼は雨傘を盾代わりにデモに参加した。その際、デモ隊の前列にいたイヴァンさんは警棒で殴られ、催涙弾を浴びた。「そのとき身分証を確認され、警察にマークされた。情報は香港立法会(国会に相当)にも渡っているはずだ」。

7月の香港は恐怖に包まれており、当局にマークされたイヴァンさんは香港を離れるしかなかった。彼はスーツケース1つと40香港ドル(約560円)が入った通帳を持って台湾に向かった。海外から民主化運動を行うことにしたのだ。香港デモを契機に、多くの香港人が台湾へ渡った。すでに香港へ帰った人もいるが、イヴァンさんのように台湾にとどまって活動を続ける人もいる。

2020年1月、台北市で「保護傘香港有限公司」という企業が登記された。資本金は500万台湾ドル(約1800万円)。登録された事業内容は日用品の販売から飲食業、国際貿易までと多岐にわたる。

実際に会社の公式サイトを見てみると、「主権を取り戻す」という意味の「光復」という文字がプリントされたTシャツ数種や、香港民主化デモの様子を収めたドキュメンタリー写真集が販売されている。

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