テスラの株価もマスク氏の報酬も超バブルだ 時価総額はトヨタ超、マスク氏報酬は6兆へ?

東洋経済オンライン / 2020年7月7日 8時0分

有人飛行テストの成功で喜ぶ、「嵐を呼ぶ男」イーロン・マスク。だがテスラの株価も、彼の報酬も超バブルなのかもしれない(写真:ロイター/アフロ)

明らかにおかしい。

米電気自動車メーカーのテスラの時価総額が、7月に入ってついにトヨタ自動車(7月6日の時価総額は22兆3809億円)を超えた。同時に、テスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)への超高額報酬(最大で6兆円以上)が支払われる方向で、着々と進んでいる(テスラ株の時価総額や売り上げ、利益などが定められた基準に達した場合の報酬で、今後分割して支払われる。2018年の株主総会で決定)。

だが、どちらもおかしくないか。

■「報酬6兆円超」はどこがおかしいのか?

まずは明らかにおかしいと言える、マスク氏への約6兆円超にのぼる報酬から論じてみよう。

この話はソフトバンクグループの孫正義会長兼社長、ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長とはわけが違う。米マイクロソフトの共同創業者であるビル・ゲイツ氏とも、もちろん違う。

それは単純な話だ。創業者オーナー経営者という点は同じかもしれないが、立ち上げからの資本保有の価値が上がったのではなく、報酬が6兆円超だからである。ストックとフローの違いである。

報酬がストップオプション(決められた価格で株を買う権利)であろうが、株式そのものであろうが、関係ない。株価が下落した場合のリスクがなく、上昇時だけもらえる仕組みである、フローの所得だからである。

これは、問題外だ。この報酬スキームが承認されていること自体がおかしいのだが、それにも背景がある。

つまり、この決定を認めた株主たちは、今、株価が上がればいいわけで、短期的に業績がよくなり、マスク氏も6兆円のうちの一部を取得できるようにすればよいからだ。業績が良くなれば、株価は暴騰し、自分たちも売り抜けられるから、今さえよければよい。会社の持続性や6兆円超にのぼる巨額の金額でも、自分には関係のない、未来の話だ。コストもリスクも負っていないので、何でもいいのである。

市場が、こうした行動を許すような株価上昇を、短期の業績回復だけで実現させてしまうのは大きな問題なのだが、はやくからの出資者ではなく、市場で株を売買している人々はさらに短期志向である。だから「将来のことなどどうでもいい」のは、売り抜けたい出資者たち以上のものがある。
結局のところ、市場も投資家も株主も、創業者、経営者も、みな利害が一致して短期志向なのであり、その結果が、報酬6兆円超のスキームを実現させたのである。

■テスラの株価は「絶対に非合理」とは言えない

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